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第17節 6.1(土) 15:00KO 国立競技場 鹿島vs横浜FM 国立競技場に10,000名様無料ご招待
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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

アウェイツーリズム

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ドイツで知らない町を訪ねたら、一度はRatskellerで食事することをお勧めしたい。まちの中心の広場に面した市庁舎の地下にある、百年を超す伝統的な雰囲気のレストランのことである。さしずめ、郷土料理屋さんといった感じのところだが、どこも地ビールや地ワインが楽しめ、食事のメニューも豊富で味もいい。週末には、相手チームのユニフォームをまとった一行をよく見かけた。サッカーの敵味方に限らず、その土地のものを食することは、何と言ってもアウェイツーリズムの楽しみの一つなのだ。 連日しかも平日に試合の多いプロ野球では、アウェイに地元から大挙して応援に出かける慣わしはない。

週末単位に開催されるJリーグのファンは、遠くまであらゆる交通手段を使い熱心に足を運んでくれる。高速道路料金の値下げも追い風になった。 浦和、新潟、仙台、鹿島などは、アウェイゲームに繰り出す人数も半端な数字ではない。中でも最多の浦和レッズの関係者に、その規模を聞き取り調査したことがある。首都圏以外にも数千人が移動すると聞いた。昨年、九州の大分トリニータとの試合には、6千人の大サポーターが陣取ったという。またJRの駅で、臨時専用列車本数の日本一は、応援ツアーが発着する浦和駅である。 今年準加盟入りして盛り上がる長野県では、「松本山雅FC応援キャンペーン」と銘打って、自治体が信州まつもと空港の活性化策に活用した。福岡線を利用した選手やファンに県内特産品など5千円相当の賞品をプレゼントするというものだ。今後、九州に5クラブの対戦相手が待つJリーグに昇格したら、さらに地域経済の活性化につながるだろう。地元財界は、毎週末のリーグ戦から生まれるアウェイツーリズムの大波に、さらりと上手に乗ればいい。

今まで気づかなかった交通や観光に携わる人々の目にも、ファン=観光客として映ってくる。 最近では、特定クラブのファンではない“Jリーグファン”の姿も見られる。全国37クラブのホームスタジアム巡りを気ままに楽しむ女性ファンに出会った話を聞いた。ならば、“スタジアムスタンプラリー”のシートを用意してみては。ホームタウンの載った日本地図の台紙を額に用意し、訪れたスタジアムで手に入れた相手クラブのピンバッジをそこに一つずつ付け、Jリーグマップを完成させていく楽しみはどうだろうか。 アウェイツーリズムの存在は、これからもJリーグファンの数や層を拡大していく。一見すると、本来ホームスタジアムを地元ファンでホームカラー一色に染めようとする願いとは、二律背反するような事象に見える。だが、その底流は一つにつながっている。