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コラム

川端 暁彦の千態万状Jリーグ

2015/7/9 13:11

「二つの順位表」を巡る戦いが幕を開ける(♯15)

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7月11日の土曜日から、明治安田生命J1リーグ 2ndステージの幕が開ける。1stステージに不本意な戦績に終わったチームは、この今季2度目の開幕戦を「勝点ゼロからのリスタート」という意味で捉えることになるだろう。

開幕前、いろいろな選手にこの2ステージ制をどう捉えているのかを聞いて回ったのだが、大体の意見としては「選手は『2ステージだから勝点がこうなって……』なんてそこまで意識しないと思います」というもの。ただ同時に何人かの選手が「意識するとしたら」と指摘していたのが、この1stステージと2ndステージの切れ目だった。確かにそれまで積み上げてきた勝点がゼロに戻ってもう一度開幕を迎えるのだから、嫌でも意識することになるタイミングだ。通年で競う昨季までのリーグと比べて、選手の心理面で大きな差があるのは間違いない。

1stステージ2位のFC東京は、武藤が移籍したもののすぐさま補強し陣容を整えた。
1stステージ2位のFC東京は、武藤が移籍したもののすぐさま補強し陣容を整えた。

クラブのマネジメントという意味でも重要なポイントだ。つまり、選手補強の好機である。裏を返せば選手が出て行ってしまうタイミングということもあるのだが、武藤 嘉紀というエースを失った1stステージ2位のFC東京は、長身スペイン人FWサンダサと、豪州代表FWネイサン バーンズの獲得を相次いで発表。その陣容を速やかに整えた。スペインのサバデルへ期限付き移籍していた田邉 草民の復帰も密かに楽しみなポイントである。

帰って来たと言えば、川崎フロンターレもドイツのボーフムに在籍していたMF田坂 祐介を出戻りの形で獲得。また残留の危機にある年間18位(16位から18位が降格圏)の清水エスパルスは、その川崎Fで一時代を築いて韓国へと渡っていた大型FW鄭 大世の獲得に成功している。Jリーグでは、優勝戦線の勝ち残りを狙うチーム以上に、残留戦線からの脱出を図るチームが激しい補強を行うのが常。年間15位の松本山雅FCも新助っ人MFエリックを獲得し、この後半戦に備えている。

川崎Fに復帰した田坂。ドイツでの経験を生かせるか。
川崎Fに復帰した田坂。ドイツでの経験を生かせるか。

ここで「年間○○位」という表現が出てきて戸惑った読者もいるかもしれないので補足しておこう。コラム冒頭で「勝点がゼロに戻った」と書いてしまったのだが、実際のところ1stステージで記録した勝点が無に帰したわけではない。Jリーグチャンピオンシップへの出場権はステージ優勝チームだけに与えられるものではなく、1stと2ndの勝点を合計して競う年間順位の上位3チームにも与えられるからだ。このため、チャンピオンシップには最大5チームが出場するという特殊なレギュレーションになっており、この後半戦は2ndステージでの優勝争いと並行して、年間順位上位3チームに与えられるチャンピオンシップ出場権争いもひとつの注目点となる。いわば二つの順位争いが同時に行われることとなるわけだ。

1stステージ最下位の清水は、巻き返しを図れるか。
1stステージ最下位の清水は、巻き返しを図れるか。

また、残留争いについても従来通りに年間順位が基準となるため、こちらも勝点がゼロになるわけではなく、1stステージからの延長線上の戦いである。18位が清水、17位がアルビレックス新潟とJ1での実績がある2クラブが下位にいるだけに、こちらも相当熱い闘いになることは間違いない。過去のJリーグを振り返ると、前半戦に低迷していたクラブが後半戦で猛烈に巻き返すこともあったので、「2ndステージで上位を窺いつつ、年間順位では残留を争う」といった現象も見られるかもしれない。

「二つの順位表」を巡る戦いが、7月11日から全国各地にて幕を開ける。