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【J2:第32節 鳥栖 vs 甲府】レポート:FWの高さをめぐる攻防に、昇格を狙う両チームの執念を見た試合。強さともろさをともに露呈したが、上位争いの手ごたえも感じたに違いない。(09.08.06)

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8月5日(水) 2009 J2リーグ戦 第32節
鳥栖 1 - 1 甲府 (19:04/ベアスタ/4,123人)
得点者:45' 松橋優(甲府)、84' 山田卓也(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch181 8/8(土)12:30〜(解説:サカクラゲン、実況:南鉄平、リポーター:ヨンヘ)
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相手のストロングポイントをケアしない相手はいない。脅威とわかっていたら、先に手を打つのが常套手段。そこをケアするのか、そこにボールが渡る前に対応するのか、それとも両方か・・・。そこには戦術があり、チームのコンセプトがあり、監督のサッカー感がある。
今節の鳥栖対甲府は、ともに前線に高さがあり、その高さを利用して攻撃を行うチームの対戦だった。そして、その高さをめぐる攻防に見所が多くあり、守備でも見せるものが多かった。

鳥栖のハーフナーマイクと甲府の森田浩史は、常に味方パスのターゲットとなる。ここに入ったボールを入ってきた選手に落とすのか、自らゴールを狙うのか・・・。第2クールに入って、互いに勝点を上積みしている大きな要因となっている。この2人に正確なパスを供給できる仕組みがあるのも両チームの特徴。鳥栖は左サイド島田裕介と右サイド武岡優斗、甲府はボランチの藤田健と石原克哉である。さらに両チームとも積極的に両サイドDFが攻撃に絡んでくる。アーリークロスであったり、スペースに飛び込んでのフィニッシュであったりと、攻撃は多彩である。そして相手に与える最大の脅威は、ボールサイドの逆から飛び込んでくる鳥栖のサイドMFであり、甲府の3トップである。この日の得点は、すべてこの相手に与える最大の脅威が炸裂して奪ったものだった。

後半開始早々、甲府の3トップの一角、左に位置したFW大西容平が鳥栖のサイドDFと対峙した。甲府FWのガウボンと森田はゴール正面でクロスに対する準備態勢に入っていた。鳥栖はDF日高拓磨とMF島田で奪いに行くが、大西がテクニックでかわした。そうなると、鳥栖DFはゴール前に飛び込んでくる甲府の選手のマークに入ったが、1枚だけ人数が足りていなかった。ファーサイドのFW松橋優に対しては、ノーマークとなってしまった。「優(松橋)が見えたので、合わせて蹴った」と大西は冷静だった。甲府FWの高さをおとりにした、甲府の攻撃の幅をみせた得点だった。

これで、甲府は勢いに乗るかと思われたが、中2日でのアウェイ戦ということもあり、「構えた状態から入る」(安間貴義監督)ことで、残りの45分をしのぐ作戦に出た。鳥栖は、DFまでを含めた総攻撃を仕掛けるべく、63分から立て続けに選手交代を行った。63分には右サイドの位置に山田卓也、64分には左サイドに廣瀬浩二、66分にはFWにトジンと前半とは違うサッカーを持って甲府の守備の崩しにかかった。
この選手交代の功を奏したのが84分。FWトジンが中央で後ろから上がってきたセンターバック飯尾和也にボールをはたくと、そのまま左サイドをドリブルで上がっていった。この間にゴール前に飛び込んできたのが、山田である。ゴール前には、ハーフナーマイクが構えていたが、その前を通過して走りこんだので、甲府DFの対応が遅れてしまう。「ゴール前に走りこんできたのが見えたので、速いボールを送った」(飯尾)のを感じた山田は、胸でボールのコースを変えてゴールを生んだ。
それまで、ハーフナーマイクに合わせてきたからこそ生まれたゴールといえる。

終わってみると、互いに持ち味である前線での高さを利用した得点で引き分けた試合ではあったが、この高さに対する攻防にも特筆すべきところが多かった。
ハーフナーマイクに入ったボールには、ダニエルが必ず競りにいっていた。そして、山本がその後ろをカバーリングしていた。同様に森田に入ったボールには、渡邉将基が競りにいき、飯尾がカバーに入っていた。最後のケアの所には二重三重の防護策が張られ、相手のストロングポイント対策ができていた。高さ対策だけではない。両チームともサイドDFが攻撃参加する時間が長い分だけ、ボランチの守備への意識が高かった。高橋義希と石原は、左右ともなく空いた危険地帯を埋め、飛び込んでくる相手選手へのケアを怠らなかった。ボールの出所である鳥栖の両サイドMFには、甲府の3トップの1人がファーストDFとして対応していたし、甲府のボランチに対しては、鳥栖の2トップの1人が対応していた。
この試合では、得てして攻撃力だけに注目が集まりがちだが、その攻撃に対する守備のあり方と、相手のストロングポイントの力をそぎ落とすための伏線が多く張られた試合でもあった。両監督の緻密な作戦と、相手チームの分析があったからこその引き分けだったと感じた。そして、勝点1を分け合う形ではあったが、第2クールに入っての好調同士の戦いでは最高の勝点かもしれない。この2チームが残りのJリーグディビジョン2の主役を演じることは間違いない。

そして、もうひとつだけ特筆しておきたいことがある。
甲府には、以前鳥栖に所属した選手が2人いた。FW森田と金信泳である。どちらも鳥栖のサポーターにとっては忘れられない選手ではあるが、今節では最も要注意のはずである。しかし、試合前の選手紹介では、鳥栖のサポーターとファンは大きな拍手で彼らを迎えた。
今、世界のサッカーが提唱している『リスペクト』の精神でもって迎えたのである。サッカーの世界では、『敵』とは呼ばず『相手』と呼ぶ。相手があってからこそ成り立つスポーツであり、これからも戦い続けなければならないからこそ、敬意と感謝の意を持って試合に臨み、別れるのである。試合後には、双方のチームと審判団とが握手を持って分かれるのが通例となっている。規則で規制せずとも、サッカーの世界では当たり前のこと。
試合前に鳥栖のサポーターが敬意と感謝の拍手で迎えたからこそ、試合が白熱し見所が多かったのではないだろうか。
試合前に見せる選手の緊張感。試合中に見せる選手の気迫。そして、試合後の敬意と感謝の笑顔。
90分間を全力で戦い抜いたアスリートこそが見せるスピリッツである。
この日の試合では、両チームのサポーターも最高の演出をしていたとあらためて思う。
数字には表すことができないが、サポーターとファンも一体となって競技に参加していることは間違いない。

スポーツだから勝敗をつけなければならない。
リーグ戦だからこそ、引き分けがあり、得失点差での序列をつけられる。
勝者があれば敗者が生まれ、喜びの裏には悲しみがある。
引き分けの試合でも、大きな勝点1があれば、勝点2を失うこともある。
サッカーほど、1点の重みがあるスポーツはない。

以上

2009.08.06 Reported by サカクラゲン
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