８月３日～９月１０日にかけて、川崎フロンターレ、Ｕ－１５Ｂ所属選手（17名）を対象にＪリーグ版よのなか科を実施致しました。
プログラムの進行役は、育成部（育成プロジェクトグループコーチ）の藤原隆詞さん。
川崎フロンターレでは、よのなか科の取り組みは５年目になります。５回のプログラムでは、クラブの経営、Ｊリーグの理念、サッカーをとりまく職業、それぞれの職業に必要な「意志」「役割」「能力」、選手自身の５年後のキャリアイメージプランについて考えました。
第１回の「Ｊクラブをとりまく“お金”から仕組みを考える」では、藁科義弘代表取締役社長から、社長の経営に関する考え、企業として価値を高めていくためにはどうすべきか、地域の皆さんにとって川崎フロンターレがより身近な存在となるようにどのようにしていきたいかなど、その想いを熱く語っていただきました。非常にわかりやすく心に響く内容で、フロンターレというクラブがどこを目指しているか、まさによのなか科を通じて発信していきたいことを、クラブビジョンを明確に伝えていただきました。
第２回の「Ｊリーグがめざすものを考える」では、第１回の社長からのお話もあり、Ｊリーグが地域の象徴的存在・地域共生を目指していること、スポーツでもっと幸せな国へという百年構想を掲げていることなどをより深く考えられていたようです。また、この回では、ディスカッション形式の展開の中、“視点を変えること・さまざまな立場になって考えること”を通じ、試合・練習などグラウンド内におけるコミュニケーション時にも必要不可欠な考え方を学びました。非常に有意義な時間となりました。
第３回、第４回は“職業”に関する内容でしたが、ここではやはりゲストティーチャーの“生”のレクチャーが印象的でした。社内からのゲストとして、川崎市出身でサッカーも経験されていた運営グループの斎藤友登さんを招きその業務内容を説明してもらいました。さすが川崎市出身の先輩とあって、選手たちは親近感を抱きながら真剣な眼差しで耳を傾けていました。また、社外ゲストとして、昨年に引き続きオフィシャルフォトグラファーの大堀優さんをお招きしました。大堀さんは、カメラマンとしての仕事ぶりを熱く語るだけではなく、長年シャッターを押し続けてきた方だからこその視点でもお話しいただきました。「良い選手はフォーム・形（型）が美しい」「影を観るだけで特定されるような選手がスーパースター」「自分の時間を作れる選手は良い選手」など、非常に興味深いお話に、選手達はもちろん会場の大人達も引き込まれていました。
そして最終回。第５回の「自分のキャリアイメージプランを考える」では、トップチーム選手の板倉滉選手にゲストとして登場していただく予定でした。しかしこの最終回当日は、Ｊリーグ開催日で、板倉選手がメンバーに入ったことを受けコンディションを考慮し事前に収録していた映像にて出演となりました。ただし、映像ではあったものの、「プロとして“24時間”サッカーのことを考え行動している。すべてはサッカーのため」。「プロの凄さは２つ。１つ目は“スピード”。パススピードや判断のスピードなどスピードがアカデミー時代とは比べ物にならない。２つ目は“結果を出す”ことに対する“意識”。非常に“意識”が高い」。「デビューはしたものの、まだまだ満足していない。もっともっと吸収していきたい。上を目指していきたい！」とアカデミー出身の“先輩”選手として、非常に心に響く素晴らしい話をしてくれました。“意志”の強さをまざまざと感じました。
選手たちは、このよのなか科を通じて、クラブ・Ｊリーグの目指している方向性を学び、サッカーに関わるさまざまな職業の存在を知り、自らの将来を考える意識が高まりました。と同時に、競技者としての人間性・社会性の形成、コミュニケーション能力の必要性を理解し、川崎フロンターレでトップチームに上がりたい、プロサッカー選手になりたいという想いを強く持ったようでした。
全５回の授業、それぞれの回で選手の成長が見られたこのよのなか科。
今後の彼らに期待を抱きながら、その成長をサポートしていきたいと思います。
写真提供／川崎フロンターレ
