6月26日（水）、アビスパ福岡・トップチーム全選手/スタッフを対象に「アスリート交流会」が開催されました。
講師は、プロラグビー選手の畠山健介さん。
今回のアスリート交流会は、ラグビーワールドカップ2015での躍進を担った畠山さんから「勝つ」グループに必要なものを学ぶことを目的として開催しました。
はじめに、畠山さんの自己紹介からスタートしましたが、その中でご自身の代表キャップ78という数字が昨年までアビスパ福岡に在籍した駒野友一選手と同じだと紹介するなど、参加者の身近な人物を引き合いに出すことで、より話に引き込む工夫をされていました。
ラグビーＷ杯2015の南アフリカ戦で歴史的な勝利を挙げた日本代表チームでしたが、実はその前の24年間で1勝しかしていなかったという事実。そしてそういう状況に慣れてしまい、勝つことを諦めていたチームがいったいどういう取り組みをして「勝つチーム」に成長していったのかを様々な具体例を提示しながら説明してくださいました。
「どうしたら勝てるのか？」ではなく「なぜ勝てないのか？」というアプローチの仕方。世界の中で勝つための『JAPAN WAY』を突き詰めることで、それまでラグビーＷ杯でわずか1勝だったチームがグループリーグ4試合中3勝を挙げる快挙を成し遂げたそうです。 チームが勝つためには『ONE TEAM』になることが大切になる。その要素は、①大儀②戦術③規律④忠誠だということ。ラグビーＷ杯における大儀は「誇りを取り戻す」ということをチーム全員でその目的に熱量や意思を共有し続けたそうです。
また、規律の話の中でとても印象に残ったのが、いかに選手だけでなくサポートするスタッフの役割も大きいかということです。一例として挙げられたのが、パズルのお話でした。ラグビーＷ杯2015では、『JAPAN WAY』と描かれた写真をジグゾーパズルにし、試合前に全選手/スタッフ一人ひとりそれぞれに１ピースが与えられたそうです。ルールは「試合開始までに自分が戦う準備ができたらピースを並べる」というもの。そのパズルが揃わなかった試合が、グループリーグ唯一の黒星となったスコットランド戦。その時は2名のスタッフの方が忘れてしまったそうですが、忘れたことにさほど大きな責任を感じていなかったそうです。ただ、その後は選手だけでなくスタッフ含め一つのチームになるためそれぞれが責任を持ち、行動したことで2連勝を成し遂げられました。もちろん、それが原因で勝った、負けたではないかもしれませんが、チーム内での規律やメンタル面の統一は勝つ組織においては非常に重要な要素なのだと改めて感じました。
そして、それらの細かい作業を突き詰めて継続していくとチーム内に変化が現れ、規律はいつしか「文化」になり、忠誠は「愛」へと変わっていくとお話しいただきました。いかに日ごろの積み重ねが大切か、考え方や価値観の違うチームメイトだからこそ議論を重ね続けることで「SAME PICTURE」を描くことができるということ。
交流会の最後に、一番強いメッセージが込められた言葉を映像と共に頂きました。それは、『Better People make Better Player』というもので、ニュージーランド代表通称オールブラックスが長年、スローガンとして掲げられた考え方だそうです。
長いシーズンは決して平坦でなく、様々な状況に陥るもの。その厳しい状況の時に、そこから逃げずにどれだけ体を張れるか？
アビスパ福岡の『感動と勝ちにこだわる』というスローガンを引き合いに出し、人々はチームが「勝つ」から「感動」するのではなく、勝ちを求める「姿勢」に「感動」するのではないかと。また、スポーツが与える影響は計り知れないともおっしゃっていました。
現状、アビスパ福岡はＪ２リーグ下位に甘んじていますが、畠山さんに頂いた言葉の数々や経験にはヒントが散りばめられていました。今回の交流会が浮上のきっかけにできるよう、選手/スタッフで日常から突き詰めて行きたいと思います。
写真提供／アビスパ福岡
