これまで行ってきたトレーニング、そして「8対8+2」の大人数ゲーム形式を経て、このトレーニングはテーマ2「前進とカウンタープレス」の集大成となります。
これまでのトレーニングを通して、選手たちはロジャー・シュミットのゲームモデルを支える重要な要素を段階的に学んできました。
そして、この最終形式では、それらの要素を実戦さながらの11対11の環境の中で発揮していきます。
これまでのトレーニングのように、数的優位や細かな制限によって特定の局面を切り取るのではなく、このゲームでは「ゲームそのもの」が学習の場となります。
ロジャー・シュミットは、シンプルで明確な2つのルールだけを設定することで、ゲームのリアリティや流れを保ちながら、選手たちの行動を自然に導いていきます。
このトレーニングでは、テーマ2の重要な要素がすべて結びついていきます。
セットアップ
このトレーニングは、通常よりもコンパクトに設定したピッチで行う11対11ゲームです。
オフサイド、スローイン、コーナーキックなど、すべて公式ルールに沿って実施されます。両チームは、「1-4-2-3-1」のシステムで配置されています。
1. コンパクトさを促す設定
チーム全員が相手陣内に入った状態で得点した場合、そのチームには追加でPKが与えられます。
戦術的な意図このルールは、チーム全体でコンパクトに攻撃することを促すために設定されています。
後方に選手が孤立して残るのではなく、チーム全体が前へ押し上げながら、プレーエリアの近くで関わり続けることが求められます。
その結果、次のような状況が生まれます。
目的は、単に相手陣地へ押し込むことではありません。
継続的に攻撃の圧力をかけ続けることにあります。
ボール保持時にチーム全体をコンパクトに保つことで、次の要素につながります。
また、このルールには重要なメッセージも含まれています。それは攻撃と守備はつながっているということです。良い攻撃の構造は、ボールを失った直後に素早く守備へ切り替えることにもつながっていきます。
2. 前方向へのプレーを義務づけるルール
自陣で後方へのパスが出た場合、そのパスを受けた選手は、次のプレーで必ず前方向へパスを出さなければなりません。ボールを持つタッチ数に制限はありませんが、次のパスの方向は前向きであることが求められます。
戦術的な意図このルールは、ビルドアップの中で前方向への意識を持たせることを目的としています。
ロジャー・シュミットは、ゲームのテンポを落とし、相手に守備を整える時間を与えてしまうような、消極的なボール回しや不必要なバックパスを避けることを求めています。
そのため、選手たちには次のことが求められます。
ただし、このルールは無理に縦パスを入れさせることを目的としているわけではありません。
重要なのは、より早いタイミングで前進できる選択肢に気づき、それを選択する勇気と判断力を身につけることです。
原則はシンプルです。
前方向への選択肢は、選手が気づく前からすでに存在していることが多いということです。
プレッシャーを引き出してスペースを作る
このルールには、重要な戦術的な効果もあります。
後方へのパスは、相手のプレッシングを引き出すきっかけになることが多くあります。
守備側が前へ強く出てくることで、ピッチの別の場所に新しいスペースが生まれます。
そのスペースは、次のような場所に現れます。
重要なのは、単にバックパスを避けることではなく、プレッシャーを戦術的に利用することにあります。
相手を引き出した上で素早く前進することで、次のような状況を作り出すことができます。
これは、ロジャー・シュミットのフットボールを特徴づける重要な考え方の一つです。
プレッシャーを問題としてではなく、チャンスとして利用することが大切です。
この11対11の条件付きゲームは、テーマ2で取り組んできた要素を、実戦に近いゲーム環境の中で統合する最終ステップとなります。
これまでのトレーニングを通して、選手たちは段階的に次の要素を学んできました。
この最終形式では、それらすべてを実際のゲームに近い複雑な環境の中で発揮していきます。
ロジャー・シュミットは、2つのシンプルなルールを通して、次の要素を引き出していきます。
その結果、チームはボール保持によってゲームを落ち着かせるのではなく、ゲームを加速させていきます。前向きに守備を行い、素早く前進しながら、主体的にゲームを動かしていく。
それが、ロジャー・シュミットが求めるフットボールです。