グローバルフットボール
アドバイザー プロジェクト

Training 11

11 vs 11
- トレーニングマッチ -

-トレーニングで身につけたことを試合へつなげる-

このシリーズの締めくくりとして、選手たちは11対11の紅白戦形式のゲームを行いました。このゲームは、トレーニングキャンプを通して積み上げてきたすべての要素を統合することを目的としています。

ゲームは実際の試合に近い環境の中で行われ、選手たちはロジャー・シュミットのフットボールにおける重要な要素を、フルスケールの状況下で発揮することが求められました。高い強度、主体的な組織性、前向きな守備、縦方向への攻撃、そして素早い攻守の切り替えが、常に求められる環境です。

特に印象的だったのは、選手たちが短期間で大きく適応していたことです。わずか1週間の集中的なトレーニングの中で、選手たちはそれぞれの役割を明確に理解し、高い連携力を見せながら、積極的に前へ出ていくプレースタイルをチーム全体で共有していました。

ここからは、ゲームの各局面で見られた重要なプレー原則を分析していきます。

メンバーリスト

赤チーム 白チーム

1. ボール非保持時 ― プレッシング

両チームは、相手陣内でボールを奪い返すことを狙いながら、主体的かつ明確な意図を持って守備を行っていました。

プレッシングは、チーム全体で連動しながらアグレッシブに行われており、ライン間のコンパクトさも常に維持されていました。

選手たちは単に下がって対応するのではなく、継続的に前へ出てプレッシャーをかけ続けており、ゲーム全体が“能動的な守備”によって支配されていました。

主なプレー原則

構造とプレッシングの特徴
  • ボールを基準にしながら、ライン間をコンパクトに保って守備を行う
  • すべてのラインが連動して押し上げながら、前向きに守備を行う
  • 最初のディフェンダーがプレッシャーをかけ、コースを切りながら相手のプレーを限定する
  • 周囲の選手がボール周辺で数的優位を作り、同時に背後のスペースも管理する
ライン間へのパスに対する反応
  • ライン間で受けた選手に対して、周囲の選手が即座に集団でプレッシャーをかける
  • センターバックは前へ出て対応し、ミッドフィルダーは背後を埋めながら守備を行う
  • ボール周辺を囲い込み、前進を止めながらボール奪取を狙う
ロングボールへの対応
  • 最も近いディフェンダーが前へ出て競りに行く
  • 最終ラインは背後をカバーしながらバランスを保つ
  • ミッドフィルダーは素早く戻り、セカンドボールへの対応を行う

2. 攻撃への切り替え ― カウンター

ボールを奪った直後、両チームは一貫して素早く攻撃へ移ることを狙っていました。

攻守の切り替えの瞬間を、相手の守備組織が整っていない状態を突く重要なチャンスとして捉えていたことが分かります。

意図は非常に明確でした。
できるだけ早く前方向へプレーし、攻撃の勢いを維持しながら、相手が守備を立て直す前にチャンスを作り出すことです。

主なプレー原則

攻撃のスタート
  • ボールを奪った瞬間に、すぐ前へ向かう意識を持つ
  • 早い縦パスや前方向への運びによってプレッシャーを突破する
攻撃の勢いを維持する
  • 受け手が前を向ける場合は、そのまま前進する
  • 前を向けない場合は、すでに前向きの味方へ素早く落とす
  • 攻撃のテンポを落とすプレーや、不必要なやり直しを避ける
スペースを使って攻撃する
  • 味方選手が前方向へ積極的に走り込み、空いたスペースを突いていく
  • ボール保持者は、最もゴールへ近づけるルートを優先して選択する
  • 守備側が立て直す前に、素早く前進する
  • チーム全体がコンパクトな距離感を保ちながら、連動して前へ押し上げる

3. ボール保持 ― 攻撃

ボール保持時、両チームは消極的にボールを回すのではなく、常に前進する意図と勇気を持ってプレーしていました。

特に、中央での数的優位や縦方向のつながりを活用しながら、相手のラインを突破し、攻撃を加速させることが重視されていました。

主なプレー原則

構造とつながり
  • 1トップと両ウイングがライン間でプレーしながら、中央で数的優位を作り出す
  • 各ラインが適切な距離感を保ち、チーム全体のつながりを維持する
  • 中盤が常にボールを引き出しながら立ち位置を調整し、プレーをつなげていく
前進
  • 相手の外側や背後ではなく、相手の間を通して前進することを優先する
  • 狭いスペースの中でも、勇気を持って前進のためのプレーを選択する
  • 縦パスやラインを越えるパスによってディフェンダーを外し、中央エリアへ侵入する
攻撃の加速とコンパクトさ
  • ライン間で受けた選手は前を向く、もしくは素早くコンビネーションを行う
  • ラインを突破した瞬間に、一気に攻撃を加速させる
  • 3人目の動きを使いながら、背後やワイドのスペースを攻略する
  • ボール保持時もチーム全体をコンパクトに保ち、攻撃のサポートとカウンタープレスにつなげる

4. 守備への切り替え ― カウンタープレス

ボールを失った瞬間、両チームは即座に反応し、相手の前進を止める、もしくはボールを奪い返すために強いプレッシャーをかけていました。

その反応は個人任せではなく、チーム全体で連動し整理された形で行われていました。

また、このカウンタープレスは偶発的なものではなく、ボール保持時の立ち位置や構造によって、あらかじめ準備された状態の中から生まれていたことが分かります。

主なプレー原則

素早い反応と事前準備
  • ボール保持時でもチーム全体をコンパクトかつ連動した状態に保ち、ボールロストへの準備を行う
  • 攻撃時の守備バランスを保ちながら、中央エリアと背後のスペースを管理する
  • ボール背後で素早く反応できる立ち位置を取ることで、攻守の切り替えを予測して準備する
  • ボールを失った瞬間、最も近い選手が即座にプレッシャーをかける
  • 「ボールを失った直後こそ、最も奪い返しやすい瞬間である」という共通認識をチーム全体で持つ
チームとしての連動

ボールに最も近い選手

  • 即座にプレッシャーをかけ、ボール周辺を囲い込む
  • 近距離のパスコースを消す

周囲のサポート選手

  • 最初のプレッシングの周囲と背後のスペースを狭める
  • 中距離のパスコースを制限する

後方の選手

  • 中央エリアと背後のスペースを管理する
  • ロングボールやカウンターへの対応を行う

まとめ

この11対11の紅白戦では、トレーニングキャンプを通して積み上げてきた原則が、チーム全体のプレーとして明確に表れていました。

両チームには、次のような特徴が見られました。

  • 主体的かつ連動したプレッシング
  • 素早く意図のある攻撃への切り替え
  • プレッシャー下でも前方向へプレーする勇気
  • ボールロスト直後の素早い連動した反応

ゲーム全体は高い強度とダイナミックさを伴いながら、常に前進を目指す内容となっていました。

それは、このプレースタイルに求められる要素をチームが理解しているだけでなく、実戦に近い競争環境の中で、共通したフットボールの原則をすでに表現できていることを示しています。