グローバルフットボール
アドバイザー プロジェクト

Training 6

6vs6+6 From Possession to Progression
- ポゼッションから前進へ -

ハイプレスと前進プレー、カウンタープレスの連動

このトレーニングは、前半で実践したトレーニングと後半のトレーニングの主要ブロックをつなぐ役割を果たします。

前半のトレーニングで学んだ「強度の高い前からのボールを奪いに行くプレッシング」「素早いトランジション」 をベースにしながら、以下の重要なプレー原則を新たに導入します。

  • 組織的なボール保持
  • プレッシャーの打開
  • 縦方向への前進
  • ボールロスト直後の即時カウンタープレス

このトレーニングは、意図的に複雑かつ包括的に設計されています。
プレッシング、ポゼッション、前進、トランジション、カウンタープレスといったすべての局面を組み合わせ、高いテンポで連続的なトレーニングを行うことで、選手をフィジカル・メンタル・戦術のすべての面で「前進志向のプレースタイル」に向けて準備させます。

コアコンセプト

このトレーニングの大きな特徴は「2つの得点方法」にあります。

チームは以下の2つの方法で得点できます

  • ポゼッションを維持しながら逆サイドへパスを展開して得点
  • ボール奪取後、即座に逆サイドへパスを展開して得点

これはロジャー・シュミットの下記のゲームモデルの本質を表しています。

  • ボール保持時:縦に速いコンビネーションでチャンスを作る
  • ボール非保持時:強度の高いプレッシングとカウンタープレスで高い位置でボールを奪い、即座に攻撃へ繋げる

トレーニング設定

3チーム(各6人)+フリーマン2人で構成され、ピッチは3つのゾーンに分けて設定されます。各ラウンドの開始時には、それぞれのチームが1つのゾーンを担当し、中央のチームが守備側としてプレーします。

トレーニング設定

得点方法

チームは以下の2つの方法で得点することができます:

  • 10本のパスをつなぎ、反対側のゾーンへパスを展開する
  • ボールを奪い、即座に反対側のゾーンへパスを展開する

プレーの流れ

  1. コーチが外側のチームへパスを出すところからプレー開始
  2. ボール保持側のチームは、中央ゾーンから入ってくる3人のディフェンダーのプレッシャーを受けながら、フリーマン1人と連携し(7対3)、ボールを保持する
  3. 規定のパス数を達成後、反対側のゾーンへサイドチェンジ
  4. 中央ゾーンに残る3人のディフェンダーは、そのサイドチェンジのインターセプトを狙う
  5. 守備側がボールを奪った場合、すぐに逆サイドへボールを展開することで得点となる
  6. ボールを失ったチームはすぐにカウンタープレス
  7. ボールが外に出たらコーチからのパスで即再開

この構造により 「速く、連続的で、競争性の高いトレーニング環境」が生まれます。

戦術的意義と指導のポイント

このトレーニングの目的は、ゲームのあらゆる局面において主体的かつ連動したプレーを身につけることにあります。
前向きにボールを奪いにいく守備、安定したボール保持、縦方向への前進、そしてボールロスト直後の即時カウンタープレスといった要素を一体的に組み合わせることで、チームとして一貫したプレースタイルを形成していきます。

① プレッシャー下での前進プレー

ボールを保持しているチームは、単にボールを失わないことだけでなく、明確な意図を持って前進することが求められます。

  • 早い段階で縦パスの選択肢を見つける
  • フリーマンを使ってプレーを安定させる
  • サイドチェンジによってスペースを活用し、プレッシャーを回避する
フリーマンの役割:
  • 常にパスを受けられるポジションを取り続ける
  • 周囲を確認しプレッシャーを予測する
  • 前を向くのか、組み立てるのか、展開するのかを判断する

これは実際の試合で見られるプレーであり、中央の選手を起点にプレッシングを打開、または回避する形を反映しています。

プレッシャー下での前進プレー

② 即時トランジションとカウンタープレス

ボールを失った瞬間、チームは即座に、かつ全員で反応することが求められます。

  • 最も近い選手が即プレッシャー
  • 他の選手がパスコースを制限
  • 相手のサイドチェンジを防ぐ

ボールロストは攻撃の終わりではなく、再びボールを奪うためにプレッシングを開始する合図であるということがこのトレーニングの重要な原則になります。

即時トランジションとカウンタープレス

③ チームとしてのハイプレス

中央のチームは、今までのトレーニングで習得したプレッシングの原則をそのまま適用します。

  • コンパクトに連動してプレッシング
  • プレッシングをかける合図(パス、身体の向き、プレッシャー下でのボール受け)を認識する
  • ボール基準でプレッシングをかけ、逆サイドへの展開を防ぐ

数的不利な状況であっても、効果的なプレッシングによって次のことが可能になります。

  • ボール周辺で局所的な数的優位を作り出す
  • 相手のミスを誘発
  • ボール奪取をそのまま得点機会へと繋げる

これにより、これまでのトレーニングとの明確な繋がりが生まれます。

チームとしてのハイプレス

④ プレッシング時の役割分担

プレッシングを行うチームは、コンパクトな三角形を形成し、役割を流動的に入れ替えながらプレーします。

ファーストディフェンダー

  • ボール保持者に対して即座にプレッシャーをかける
  • 相手に素早い判断やミスを強いる
セカンドディフェンダー
  • パスコースを消しながらプレッシングをサポートする
  • インターセプトや2人で奪いにいく準備をする
サードディフェンダー
  • カバーとバランスを維持する
  • サイドチェンジやロングパスを予測する

選手間の距離(5〜8メートル)と絶えずポジションを調整することが、コンパクトさと守備のコントロールを維持する鍵となります。

プレッシング時の役割分担

意図を持ったトレーニング設計

このトレーニングのすべての要素は、特定の行動を引き出すために意図的に設計されています。

  • 3チーム制 → 攻守の切り替えと役割の変化を常に生み出す
  • 数的優位(7v3) → 強いプレッシャーの中でも組織的にボールを保持することを促す
  • 2つの得点方法 → 守備と攻撃を直接結びつける
  • ゾーン設定 → 展開と空間認識

効果的にトレーニングを行うために

  • 短時間かつ高強度のラウンドで実施(例:60〜90秒)
  • テンポを保つために素早くプレーを再開
  • スコアをつけて、集中力と競争意識を高める

コーチの役割は、トレーニングの目的と意図を明確にし続けることです。
これは単なるウォーミングアップではなく、チームのプレースタイルを形作るためのトレーニングです。

まとめ

この6v6v6+2のトレーニングは下記事項を狙いとしています

  • 前半のトレーニングで学習した前向きな守備の土台を発展させる
  • 後半のトレーニングのテーマになる前進プレーとカウンタープレスへの準備を行う
  • トランジション・前進・プレッシング、カウンタープレスを組み合わせる
  • フィジカル・メンタル・戦術を同時に高める
  • 実戦に近いスピードと判断を再現する

このトレーニングは、ロジャー・シュミットのプレースタイルの基盤となる重要なプレー原則を選手にしっかりと定着させる役割を果たします。