グローバルフットボール
アドバイザー プロジェクト

Training 7

3vs3+3 Breaking Lines
- ラインの突破 -

チーム戦術の中での
一人ひとりの役割と責任

このトレーニングではより決断力のある前方向へのプレーと、個々の選手のレベルアップに重点が置かれています。

前回のトレーニングでは、ハイプレス、トランジション(攻守の切り替え)、そして前進するための繋がりを理解することが目的でしたが、今回はより早いタイミングでの積極的な前進プレーと、ボール保持時における個人の責任にフォーカスが移されています。
選手たちは、チャンスをより早く見極め、迷いなくプレーし、縦方向のプレーに伴うリスクとリターンを受け入れることが求められます。

全体の構造はこれまでと同様で、3チーム・3つのゾーンの中で、ポゼッション、前進、トランジションが常に行われる形式となっています。
しかし、チーム人数や制限ルール、得点条件にわずかな変更を加えることで、トレーニングの学びは大きく変化します。

その結果、よりスピーディーでダイレクト、かつ個人にフォーカスされた戦術的トレーニングとなり、フィジカル・メンタル・戦術面の準備だけでなく、判断の速さ、実行力、そして責任感の向上にもつながります。

トレーニング設定

このトレーニングは、3人1組の3チームで行い、より少人数で個人にフォーカスされた環境を作ります。そのため、一つひとつのプレーの影響がより大きくなります。

ピッチは3つのゾーンに分けられ、それぞれに1チームずつ配置されます。中央のチームは守備役となり、両サイドの2チームがボールを保持します。

各チームが3人と少人数であるため、個々のプレーがより重要になります。その結果、学びの質と個人の責任感がより高まります。

トレーニング設定

得点方法

チームは、以下の2つの方法で得点できます

  • ボール保持側:反対側のゾーンへパスを成功させることで得点
  • 守備側:ボールを奪い、3人全員がボールに触れたうえでコーチに返すことで得点

プレーの流れ

  1. コーチが外側のチームへパスを出すところからプレー開始
  2. ボールが動いた瞬間に守備側の1人がプレスをかけ、3対1の状況が生まれる
  3. ボール保持側は中央ゾーンを通して、反対側のゾーンへパスを通す必要がある
  4. ボール保持側は自陣で最大5本までのパス制限があり、それまでに反対側のゾーンへパスを通さなければならない
  5. 守備側がボールを奪った場合、3人全員でパスをつないでからコーチに返すことで得点
  6. ボール保持側はボールを失った瞬間にすぐにカウンタープレスを行い、失点(相手の得点)を防がなければならない。

トレーニングの進め方

このトレーニングでは、より縦方向への前進意識と高強度のプレーを繰り返すことに明確な重点を置いて進行していきます。

  • 守備側のチームは、1ラウンドを通して守備を続ける
  • 各ラウンドは、コーチが供給する3つのボールで構成される
  • プレーは、ボールが外に出るか、守備側が得点条件を達成するまで続く
  • 各ボールの間に短い時間を設け、強度を落とさずに素早くリスタートする

また、4チームで行う場合は、ローテーションによってバランスと競争性を維持させます。

  • 各ラウンド1チームが休憩する
  • スコアを継続して記録し、競争意識を高める

意図を持ったトレーニング設計

ロジャー・シュミットのトレーニング全般に共通しているように、ここでも小さなルールの変更を意図的に使い、選手のプレーや判断を引き出す設計となっています。このトレーニングでは、2つの重要な調整によって、より早い前方向のプレーと、即時のカウンタープレスに重点が置かれています。

1. パス数の制限

このトレーニングの大きな特徴は、「最低パス数」ではなく「最大パス数」に制限が変わっている点にあります。チームは最大5本までしかパスができないため、選手は次のようなプレーを求められます

  • 早い段階で前を向く
  • チャンスを素早く見つける
  • 意図とスピードを持ってプレーする

ボールを回してゲームをコントロールするのではなく、ここではより一層、前へ進めるプレーが求められます。

「最低パス数」と「最大パス数」の違い
  • 最低パス数制限は、ボール保持時間を長くし、落ち着いたプレーやプレッシャーへの耐性を高める効果がある
  • 最大パス数制限は、判断のスピードを上げ、縦へのプレーを増やし、リスクを取る姿勢を促す

このシンプルな変更によって、ラインを突破するパスや前方向へのプレーの回数が大きく増えることが期待されます。

パス数の制限

2. 得点ルールとカウンタープレスの時間

この得点ルールは、非常に効果的に選手の行動を引き出す仕組みになっています。ボール保持側は逆サイドのゾーンへ展開することで得点できる一方で、守備側はボールを奪ったあと、すぐに得点するのではなく、短いパスをつないでから得点しなければなりません。
この「少しの遅れ」によって、意図的に次の状況を生み出します。

  1. ボール保持側がリアクションする時間
  2. すぐにプレッシャーをかけることが必須になる
  3. カウンタープレスが自然に発生する

つまり、ボールを失うことはプレーの終わりではなく、次のアクションの始まりになるのです。

得点ルールとカウンタープレスの時間

守備側がパスをつないでいる間に、ボール保持側はすぐにプレッシングに行き、コーチへのパスをインターセプトします。

指導のポイントと選手育成

このトレーニングは、チームとしての枠組みの中で、個人の成長を引き出すことを目的に設計されています。

少人数で行うことで
  • 一人ひとりのプレーへの関与が増える
  • 判断の回数が多くなる
  • 責任がより大きくなる

この環境の中で、プレーの実行力とメンタルの両面に負荷をかけ、成長を促していきます。

選手には次のことが求められます。

  • 安全なプレーよりも、まず前を見る
  • わずかなスペースを見つけて活用する
  • 自分のプレーで状況を変える責任を持つ
  • 意図・確信・勇気を持ってプレーする

リスクを避けるのではなく、思い切ってプレーすることが成長につながります。

指導の目的
  • 判断力: 前に出せるチャンスを素早く見つけ、実行する
  • 技術面:プレッシャーの中でも、正確でタイミングの良いパスを出す
  • メンタル面:重要な場面で自ら動き、責任を持ってプレーする

これらの目的によって、選手は常に縦方向のプレーを意識して、迷わずにプレーしながら積極的に前へ進む感覚を持つようになります。
そのためには、トレーニングの中で具体的で分かりやすいポイントを継続的に提示して行くことが大切になります。

まとめ

この3v3+3のトレーニングはこれまでのトレーニングで学んできたプレッシングとトランジションの原則をそのまま発展させた内容であり、前方向へのプレーとカウンタープレスにより一層フォーカスしています。
さらに、個々の関与と責任を高め、プレッシャーの中での判断力と実行力をスピードアップさせ、すべての局面で主体的にプレーする姿勢を強化するトレーニングとなっています。