グローバルフットボール
アドバイザー プロジェクト

Training 8

Counterpressing Rondo
- 4対2から4対7へのカウンタープレス -

ボール保持から即時奪回、
そして攻撃へ

このトレーニングは、後半のテーマ「前進プレー&カウンタープレッシング」における一連のトレーニングの締めくくりとなるものであり、より実戦に近い大人数のゲーム形式へ移行する前の最終ステップに位置づけられています。
3つのトレーニングを通して、共通となるベース(原則)を構築しながら、各トレーニングでは意図的に重点を変えて設計されています。

  • パート1:強いプレッシャーの中でも安定してボールを保持することを重視
  • パート2:可能な限り早いタイミングで前方向へのプレーを選択することを重視
  • パート3(本トレーニング):ボールを失った瞬間の即時リアクションに焦点を当てる

すべてのトレーニングは複数の局面(攻撃・守備・トランジション)を含んでいますが、それぞれのトレーニングでは、あえて一つの重要な行動を強調して設計されています。

これら3つのトレーニングを組み合わせることで、選手はプレッシャーの中でも落ち着いてボールを保持する力、ゴールに向かって前進する意識、そしてボールを失った直後に奪い返すカウンタープレスを、同時に発揮できるようになります。

その結果、次に行うより実戦に近いゲーム形式の中で、これらの要素を一体として表現するための準備が整います。

コアコンセプト

このトレーニングは、トランジションの局面を最大限に引き出し、あえて強調するように設計されています。

その狙いは、ロジャー・シュミットのゲームモデルにおいて最も重要なフェーズの一つである「ボールを失った直後のリアクション」を、繰り返しトレーニングすることにあります。

このトレーニングでは、攻撃・守備といった局面を分けて考えるのではなく、プレーが途切れることのない連続した流れの中で、選手は次のような状況を繰り返し経験します。

  • プレッシャー下でのボール保持
  • 意図的に生まれるボールロスト
  • ボールロスト直後の即時カウンタープレス
  • そして素早い攻撃への切り替え

目的はシンプルであり、かつ明確です。
可能な限り素早く、理想は即座にボールを奪い返し、その瞬間を次の攻撃の起点とすることにあります。

トレーニング設定

ピッチ設定

このトレーニングは、連動する2つのエリアで構成されています。

  • 内側エリア:10m × 10m
  • 外側エリア:30m × 20m
  • 各エンドラインの背後10mにフルサイズゴールを2つ設置

配置

2チーム制

  • 黄色チーム(4人)
  • 赤チーム(7人)

本トレーニングでは、黄色チームを主な学習対象として進めていきます。

配置

トレーニングの流れ

1. 狭いスペースでのボール保持(内側エリア 4対2)

  • プレーは内側のグリッドで、4対 2でスタート
  • 黄色はワンタッチのみでプレーして、ボール保持をあえて難しくする設定を設ける

この制約によりプレーの難易度が意図的に高められ、自然とミス(ボールロスト)が生まれやすくなります。
それによって、このトレーニングの核となる「トランジションの瞬間」が引き出される設計になっています。

1. 狭いスペースでのボール保持(内側エリア 4対2)

2. 狭いエリアから広いエリアへ展開する

黄色がボールを失った瞬間、またはボールが内側のエリアを出た瞬間に、プレーはすぐに外側の広いエリアへと展開されます。

  • 黄色は4対7の状況で守備を行う
  • 赤はゴールを目指す前に5本のパスをつなぐ必要がある
    → この制約によって、黄色にとってカウンタープレスを行う明確な時間が生まれる
  • 黄色がボールを奪い返した場合は、パスの制限なくすぐにどちらのゴールにも攻撃できる
2. 狭いエリアから広いエリアへ展開する

3. カウンタープレスの攻防

このフェーズでは、ボールを失った側がすぐに奪い返しにいく連続した攻防が展開されます。

  • 赤がこの局面でボールを失った場合、すぐにカウンタープレスを行う
  • 再びボールを奪い返した場合も、攻撃に入る前に5本のパスをつなぐ必要がある

この設定により、1つのプレーの中で2回、3回とボールの奪い合いが連続して発生し、混沌としながらもコントロールされたトランジションの環境が生まれます。

3. カウンタープレスの攻防

トレーニングの進め方

各プレーは、シュートで終わるかボールが外に出るまで続き、最大でも30秒で区切ります。

  • プレーが早く終わった場合は、コーチがすぐに新しいボールを入れ、強度とテンポを維持する
  • 各プレーの後は、短いリカバリー(休息)時間を確保する
  • 3本のプレーごとに選手の役割をローテーションする

このような構成にすることで、常に高い強度を保ちながら、このトレーニングの狙いである「トランジションの決定的な瞬間」を繰り返し経験できるようになります。

意図を持ったトレーニング設定

このトレーニングのすべての要素は、トランジション、特にカウンタープレスの局面を引き出し、強調するように設計されています。

  • 小さな内側エリア+ワンタッチ制限
    → ミスやボールロストを意図的に発生させる
  • ボールロスト直後に広いエリアへ展開
    → 実戦に近いトランジションの状況を生み出す
  • 数的不利(4対7)
    → チームとしてのプレッシングと判断力を高める
  • 赤チームの5本パスルール
    → 攻撃を遅らせ、カウンタープレスの時間を作る
  • 黄色は奪った後の制限なし
    → 前への意識と攻撃的なプレーを促す

これらの要素を組み合わせることで、ボールロストと奪い返しの回数が増え、カウンタープレスの機会が繰り返し生まれるとともに、実戦に近い状況が再現されます。

指導のポイント

1. 即時リアクション ― 迷わない

ボールを失った瞬間こそ、このトレーニングの中で最も重要な局面です。

  • 迷わず即座に反応する
  • 全力でボールに向かう
  • 相手が整う前にプレッシャーをかける
重要な原則

ボールを奪い返す最大のチャンスは、失った直後にある。

1. 即時リアクション ― 迷わない

2. ファーストディフェンダー ― 最大限のプレッシャー

最もボールに近い選手(ファーストディフェンダー)は、次の役割を担います。

  • 即座に、全力でプレッシャーをかける
  • ボール保持者をコントロールする
  • 時間・スペース・前を向く自由を与えない
重要な原則

プレッシャーが近く、そして強いほど、

  • 守備の影(カバー範囲)は大きくなる
  • 相手の選択肢は少なくなる
  • 味方が予測して動きやすくなる
2. ファーストディフェンダー ― 最大限のプレッシャー

3. 集団でのカウンタープレス

効果的なカウンタープレスは、常にチーム全体で行うものです。
周囲の選手は次のように関わる必要があります。

  • ボールを基準に、全員で連動して動く
  • スペースを消し、パスコースを制限する
  • ボール保持者を孤立させ、局所的な数的優位を作る
重要な原則

一人がプレッシャーをかけたら、周りの選手も同時に関わる。
リスクを避けるのではなく、思い切ってプレーすることが成長につながる。

3. 集団でのカウンタープレス

4. 予測とインターセプト

プレッシャーが強くなるほど、相手のプレーは読みやすくなります。
その中で、周囲の選手は次のように対応する必要があります。

  • ボール保持者の動きや体の向きから情報を読み取る
  • 次のパスコースを予測する
  • タイミングよく前に出てインターセプトを狙う
重要な原則

良いカウンタープレスは、リアクションではなく“先手”を取る守備にある。

4. 予測とインターセプト

5. 攻撃への切り替え

ボールを奪うことはゴールではなく、あくまでスタートです。
奪い返した瞬間から、次の攻撃につなげる意識が必要です。

  • 奪ったらすぐに前へプレーする
  • 相手の守備が整っていない状態を突く
  • ゴールに直結するチャンスを作り出す
重要な原則

カウンタープレスは、単に奪い返すためのものではなく、“奪った瞬間を攻撃に変える”ためのもの。

5. 攻撃への切り替え

まとめ

このトレーニングは、テーマ2の一連のトレーニングの締めくくりとして、カウンタープレスを学習の中心に据えた内容となっています。

パート1、パート2とあわせて、ロジャー・シュミットの攻撃的ゲームモデルにおける3つの核となる要素を確立します。

  • プレッシャー下でも落ち着いてプレーする力
  • ゴールへ向かう前進意識を持ったプレー
  • ボールロスト直後の即時リアクション

これらの要素が、次のステップであるより実戦に近いゲーム形式へとつながっていきます。
そこでは選手たちは、試合に近い状況の中で、これらの要素を同時に発揮していくことが求められます。