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コラム

百年構想のある風景

2015/1/30 10:00

トロフィー

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FIFA女子ワールドカップドイツ大会の決勝は、フランクフルトの森の中のスタジアムで延長・PK合戦の末、日本代表が見事に初優勝した。表彰式のフィナーレとして、"なでしこJAPAN"主将の澤穂希選手の頭上にワールドカップのトロフィーが高々と突き上げられたとき、世界中の歓喜と興奮は最高潮に達した。これが、カップ戦の醍醐味である。 トロフィーは、もともと古代の勝ち誇った戦士が戦利品として飾る戦勝記念に由来する。その後、古代ギリシアの伝統にならい、大宴会で出席者一同が回し飲みした後に、この"杯"をスポーツ選手に記念として贈呈していた。ここに、カップの原型がある。サッカーのトロフィーの草分けは、FAカップと呼ばれるイングランドサッカー協会によるトーナメント大会である。

1872年の第一回大会の決勝で、ワンダラーズが高さ45cmの小型の銀杯を手にした。このカップ戦は、その後の競技スポーツ大会の魅力づくりに大きな影響を与えた。 その最高峰が、1930年に創設されたサッカーのFIFAワールドカップである。最初のワールドカップのトロフィーは、勝利の女神が両腕を高々と掲げた頭上に杯が冠されていた。1970年、三度目の優勝を飾ったブラジル代表に約束通り永久保持されると、二代目は地球儀のデザインとなり現在に至っている。 日本サッカー協会(JFA)は、今年9月10日に創立90周年を迎える。創設のきっかけは、1919年にイングランドサッカー協会から寄贈された銀製トロフィーの存在だった。1921年大日本蹴球協会(現JFA)の創設とともに、FAカップにならい、このトロフィーをかけた全国優勝大会(現天皇杯全日本選手権)が誕生した。今大会で、91回の長い伝統と歴史を刻む。Jリーグ開幕の前年1992年には、Jリーグ・ヤマザキナビスコカップが始まり、今秋で19回目を迎える大会に成長した。ひとつのトロフィーが在るかぎり、カップ戦の物語に幕は下りない。

世界レベルのプロスポーツトーナメント大会に近年まで遠ざかってきたわが国では、トロフィーの価値よりもオリンピックでなじみの金・銀・銅の"メダル"に目標を表現してきた。今回のなでしこJAPANの選手たちに対しても、テレビのスタジオで交わされる「メダルは確実」とか「必ず、金メダルを日本に持ち帰って下さい」といった会話に違和感を覚えた。出場国のだれもが、メダルではなく、大会の勝者だけが手にできる唯一のトロフィーを目指して戦っていたからだろう。 願わくは、彼女たちがバルコニーに立って、眼下の大観衆みんなに見えるようにワールドカップの優勝トロフィーを高々と掲げる姿を、日本のどこかで見たいものである。