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コラム

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2023/10/19 18:00

J1全チームの得点パターンとアシストの軌跡

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明治安田生命J1リーグも佳境を迎え、優勝争いや残留争いを中心に白熱した試合が行われている。今回のコラムでは、J1全チームの得点パターンとアシストの軌跡を紹介する。終盤戦でこれらの得点パターンの傾向がそのまま見られるか、対戦相手を意識した別のパターンからの得点が生まれるか、注目してみたい。
※第29節終了時点(2023年10月1日時点)のデータを使用

■チーム別得点ランキング

※CK/FK:CKまたはFKから5プレー以内での得点
※ショートカウンター:アタッキングサードまたはミドルサードでのボール奪取から15秒未満での得点
※ロングカウンター:ディフェンシブサードでのボール奪取から20秒未満での得点
※ポゼッション:攻撃開始から30秒以上経過した後の得点
※その他:ゴールまでの時間等が上記の定義に当てはまらない得点

上表は全チームを得点順に並べ、「パターン別の得点数」と「チーム総得点数に対する割合」を併記したものである。各パターンの得点数上位5チームに対して黄色のハイライトを付けている。

得点数1位は横浜FM、わずか1得点差で神戸が続き、リーグでもっとも攻撃力のある2チームが、そのまま成績上位2チームに位置して優勝争いを繰り広げている。両者を得点パターンで比較すると、ともに得点自体が多いこともあって様々なパターンからゴールを奪っていることが分かるが、両者の差を見ると、ロングカウンターからとポゼッションからの得点数に違いが出ている。現在首位の神戸が全得点の15.7%をロングカウンターから挙げているのに対し、横浜FMは3.8%にとどまっている。反対にポゼッションからの得点割合は、横浜FMの21.2%に対し神戸は11.8%となっており、両者のチーム戦術の違いが如実に表れている。一方で、いずれもショートカウンターはリーグ1位の13得点を記録しており、共通する武器として挙げられる。

次に、リーグ最少失点で3位に付けている浦和に注目すると、得点数が少ない中でも目立つパターンは「PKとポゼッションからの得点」だ。PKでの5得点は神戸と並んでリーグ1位タイ、割合14.3%は福岡に次いでリーグで2番目に高い。中でも、センターバックのアレクサンダー ショルツはPKの4得点を含む5得点を記録。チーム内ではホセ カンテに次いで2位の得点を挙げており、チームの攻守両面において大きな存在感を示している。

1つの得点パターンに大きく依存しているチームとしては、ポゼッションからの得点が13点でリーグ2位、割合が39.4%でリーグ1位と、4割近い得点を同パターンから奪っている新潟が挙げられる。今季の開幕以来、丁寧にボールを保持する姿勢を見せ、ポゼッションから攻撃を組み立ててチームの特色を誇示してきた。カウンターからは3得点にとどまり、ポゼッションとセットプレーで全得点の約7割を占めている。新潟と逆の傾向のチームが広島と名古屋で、カウンターからの得点が約4割を占めており、ポゼッションからの得点は圧倒的に少ない数字となっている。

セットプレーの視点では、CK/FKからの得点(12得点)とその割合(30.8%)がリーグ1位の鹿島も、特徴的な得点パターンを持っていると言える。リーグトップの12アシスト(うちセットプレーから9アシスト)を記録している樋口 雄太は正確な右足を生かし、「J1でもっともセットプレーに強いチーム」の原動力として、大きく貢献している。

■アシストの軌跡(1位~6位)

上図はセットプレーを除いたアシストの軌跡と、アシストの各エリアでの割合、クロスとスルーパスの割合を表したものである。

神戸、横浜FMの2チームはクロスでのアシストがオープンプレーでのアシストの約半数を占めている。一方で、自陣からのアシストが3本ずつあり、軌跡の中でも一際目立っている。神戸の3本のうち左サイドの2本は初瀬 亮のロングボールからゴールが生まれたシーンだ(第28節 神戸vsC大阪/佐々木 大樹のゴール)。横浜FMの自陣ペナルティエリア内から伸びている軌跡は、一森 純のパントキックからエウベルのゴールが生まれたシーン(第20節 名古屋vs横浜FM)で記録されたもので、今季J1でのゴールキーパーのアシストは、セットプレーを含めてもこの1本のみとなっている。

■アシストの軌跡(7位~12位)

特徴的な軌跡や数字が見られたのはC大阪で、クロスを中心に得点を挙げていることがはっきりと表れた。クロスでのアシスト数17や、全アシストに対するクロスが占める割合68.0%はいずれもリーグ1位で、逆に中央からのアシストの割合12.0%はリーグで圧倒的に低い割合となっている。FC東京も同様にクロスからの得点が多く、クロスでのアシスト数16はC大阪に次ぐリーグ2位タイ、その割合55.2%もリーグ2位だ。

■アシストの軌跡(13位~18位)

一方、柏は極端に中央攻撃を志向している。中央エリアからのアシストが73.3%を占めており、他のチームと比較すると、圧倒的にアシストが中央に偏っていることが分かる。縦のスルーパスに対して抜群のラインブレイクを見せるストライカー細谷 真大の存在は大きく(スルーパスによるアシストでの5得点はリーグ1位)、1列後方からチャンスメイクするマテウス サヴィオとの強力なホットラインも確立されており、このような結果が出ていると言えそうだ。そのほか、京都や横浜FCはサイドからの長いボールでのアシストが目立つ一方、G大阪や湘南は中央での比較的短いパスが多いことが分かる。特に湘南はほとんどのアシストがペナルティエリアの横幅内で収まっており、ペナルティエリア内やそれに近い位置からのアシストによって得点を奪っていることが読み取れる。

文章/データ提供:データスタジアム株式会社