シャレン!Jリーグ社会連携

サンフレッチェ広島
”街なかスタジアム”開業に伴う、横川商店街の逆襲
最初の構想から紆余曲折、25年の時を経て昨年2月に開業した“街なかスタジアム”。入場者数、売上高ともに過去最高を記録するなど、クラブに直接的な利益をもたらすと同時に、周辺への経済波及効果は約830億円(中国財務局)と算出された。
市の作成した基本計画のアクセスルートから横川エリアを中心とする西方面は外れ、人流の試算もわずか2%。分散退場の課題を抱えていたサンフレッチェは、行政・企業・JRなどと連携した横川商店街の各種イベントに全面協力。タウン誌やローカル局の協力も得て、中心部の繁華街に対抗するべく年間を通した逆襲が始まった。
- 活動場所
- 横川商店街連合会加盟の5商店街周辺
- 協働者
- 行政、 企業、 住民、 学校、 学生、 NPO、 協議会、 ファン・サポーター、 スタジアム、 民間団体、 飲食店、 選手、 ボランティア、 プロスポーツクラブ
- 協働者名
- 横川商店街連合会、横川商店街振興組合、横川ビクトリーロード活性化委員会、NPO法人横川スポーツ・カルチャークラブ、横川カンパイ!王国、横川エリアマネージメント連絡協議会、NPO法人三篠地区青少年健全育成連絡協議会、広瀬地区社会福祉協議会、寺町町内会、三篠公民館、TJ Hiroshima、中国新聞社、(株)セカイ、(株)ポップジャパン、(株)フレスタホールディングス、前田食品(株)、JR西日本、広島SUPクラブ、広島市手をつなぐ育成会、AICJ中学・高等学校、広島経済大学興動館
協働者の声
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横川商店街連合会会長/星野 哲郎 氏
“街なかスタジアム”は我々にとっても地域活性化のチャンスと捉えています。長い年月をかけて築き上げてきた関係をもとにサンフレッチェにも協力を依頼し、試合日に合わせたコラボイベントも新たに考案しました。アウェイサポーターの皆さんにも楽しんでもらえるアットホームな雰囲気も大事にしています。横川商店街連合会は今後もサンフレッチェ広島とともに歩んでいきます。
活動詳細情報
11.PRTIMES
13.中国新聞デジタル
ストーリー
アクセスの悪かった旧スタジアム時代、観客の15%(約2500人)の輸送を18年間も担っていたシャトルバス発着地だったJR横川駅。横川商店街連合会は、パブリックビューイングの開催などクラブとは以前から密接な関係だった。また、2022年に解散してしまったが、アンジュヴィオレ広島(元なでしこリーグ1部)を0から立ち上げ、12年間自主運営を行うなど、“サッカーの街”として認知されてきた。
長い歳月をかけてようやく実現した“街なかスタジアム”。JR横川駅から1.4km、徒歩18分の好立地に商店街は色めき立ったが、広島市の作成した基本計画のアクセスルートに“JR横川駅”からの案内・誘導はなく、地図表記さえも外されていた。


市の基本計画は、広島バスセンターや広島電鉄「原爆ドーム前」を中心とする南から80%、JR「新白島駅」の北から11%、アストラムライン「県庁前駅」を中心とする東から7%、横川エリアを含む西方面からはわずか2%(満員時で700人)。この試算が公開され、それが商店街の面々の心に火をつけた。以下、クラブとコラボした代表的な例をあげる。
①5つの商店街から構成される横川商店街連合会は、80本を超えるサンフレ幟の掲出を決定。クラブ職員が設置作業をして商店街を「紫」に染めた。
②“横川本通り”は、JR横川駅からスタジアムへの直結ルート。“横川ビクトリーロード”という名称を新たに掲げて、動線上の飲食店も合わせてPR。
③サンフレ応援店も募集し(現在52店舗)、シールラリーを開催。シソやグレープを使った紫色の独自メニュー(サワーやカクテル、フライドチキン、ピザなど)の開発や、ユニホーム着用で割引サービスなど、対戦チームのサポーターも温かく歓迎している。
④理事長を筆頭に、JR横川駅の駅員、手をつなぐ育成会の方々と一緒に、駅からスタジアムまでの動線の清掃活動を3回(5/16、7/31、12/2)実施。
⑤改札や構内をフルラッピングしたJR横川駅だけでなく、アストラムラインとも協働してスタンプラリーを開催(8/11~12/1)。公共交通機関の利用、サンフレの試合観戦、商店街店舗の利用の3点をクリアすると特典がもらえる企画も実施した。
⑥横川ビクトリーロードの先(横川橋~空鞘橋)の遊歩道の改善は行政区域をまたぎ、中区長へ要望。2週間後には、夜間照明灯と路面の改修が実現した。
アクセスルート紹介から外されたことをきっかけに始まったクラブと商店街との様々な取り組みは、各メディアに継続的に取り上げられ、各店舗の売上も大幅改善。クラブとの相乗効果はこれからも続く。