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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

タクシードライバー

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ホームスタジアムのある小瀬スポーツ公園と甲府駅の間を、ホームゲーム時にタクシーが定額運行をしている。渋滞でいつもより時間を要しても、迂回して距離が多少伸びても、料金(小型)は一定の片道2,100円、訪問者には安心できるシステムだ。 道中、客からまちのことを尋ねられることもしばしば。地元の出来事には常にアンテナを立て敏感になる。客同士の会話も興味深い話なら自然と耳に入って来る。タクシーの車内は、まちの話題の“玉手箱”、いつしかドライバーは、まち一番の情報通になる。Jリーグの話題になると、ヴァンフォーレ甲府のことを身内同然の口調で語りはじめた。 仙台のドライバーにベガルタの話題を差し向けると、彼の頭の中は最新の成績表や対戦カードできちんと整理されていた。

試合結果で、チームの順位が何位まで上がり、あるいは下がるのかを正確にシミュレーションし、運転しながら詳しく説明してくれたときにはさすがに脱帽。 Jリーグの認知度をはかろうと、市役所から乗ったタクシーの年配ドライバーに「試合観戦に行ったことはありますか?」と尋ねてみた。「1年前に招待券を二枚もらい夫婦で行ってみました。以来、サガン鳥栖の応援にはまり回数券を購入。ユニフォームを身にまとい二人で応援に出掛ける日がいつも待ち遠しいです。」鳥栖の未来に光明がみえた。 水戸のまちには、残念ながらホームタウンの風景があまり見えない。ならばと、ドライバーに聞いてみれば、「もともとのチームは、旧JFLに所属する土浦市のプリマハムチーム。会社が支援を打ち切るというので、水戸のクラブと合併してJリーグを目指した。

だから、市民にはホーリーホックにいまひとつ愛着が湧いてこなかったんだ。市内になかったホームスタジアムも、今秋ようやくホームタウンに完成する。10年かかったが、これからはとても楽しみです。」未来への胎動がかすかに聞こえてきた。 入場者数が伸び悩む愛媛FCの地元には、前向きな発言をするドライバーがいた。「坊ちゃんスタジアムで行われたプロ野球オールスター戦にはみんなが熱狂した。たった一度だけのイベントなのに。ここには、サッカーと野球の地元チームがある。どうして、このチームをもっとみんなで地道に盛り上げていかないんでしょうね?」・・・ 毎朝、食卓で家族と交わす今日の“天気”の話。昼間、仕事場で口にする“景気”の行方。夕方から仲間と一杯やる酒のさかなは、もちろん“ホームチーム”の浮沈。どれも、日々の生活には欠かせない大切な“ちまたの話題”である。その源泉が、ホームタウンを駆けるタクシーの中に凝縮されている。