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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

地元紙

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2001年日本サッカー協会創立80周年にあたり、日本代表チームの足跡を記録に残すことになった。当時ドイツに滞在した国際委員の筆者は、1960年代に欧州へ遠征した当時のデータ収集の協力依頼を受けた折、『地元紙』の存在に助けられた。 調査の対象となった日本代表の対戦相手は、名もないクラブや地域選抜チームが多い。相手のチーム名や開催地の地名を手がかりに現地の自治体に問い合わせて返事を待った。 うれしいことに、ファクシミリから各地元紙の記事が届いた。40年前の日本代表の試合経過、写真、メンバー表(交代含む)がみごとによみがえり、地元の歓迎ぶりも時を越えて伝わる。その中に、“宮本輝紀”や“川淵三郎”という懐かしい名前を見つけた。 日本には、ほぼ各県別に47の代表的な“地方紙”がある。

購読率50%を超すものは21紙、地域スポーツの重要な広報担当の役割を果たす。これからJをめざすクラブの存在は、地域リーグレベルでも、試合の翌日には紙面を大きく飾るほどの大事なコンテンツに成長した。岡山の山陽新聞では、5年前まだファジアーノが県リーグ時代に「地域スポーツ欄」を設け、女子サッカーの湯郷ベルや女子バレーボールのシーガルスの情報とともに伝えてきた。 欧米の新聞は、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、フランクフルター・アルゲマイネなど、都市名を冠した地元紙が基本。周辺の町村連合の小さな郷土紙から全国さらには世界規模に普及した大新聞まで多様である。この点、スポーツの世界と似ている。 ドイツの約13千ある市町村には、約9万のスポーツクラブがあり、うち27千がサッカークラブ。わがまちのクラブの活動を住民にくわしく伝える役目が、地元紙にある。その規模は中・小さまざま、経営も悲喜こもごも、その数およそ350。 高校サッカーのFWとして活躍したある日本人選手が、フランクフルトの北100kmにある町カッセルにサッカー留学していたことがある。

ヘッセン州の地域リーグでの彼の頑張りは、地元紙に「小さな日本人ストライカー」として写真入りでたびたび紹介された。 地元紙は、大切なまちのアーカイブ(記録保存庫)。そこには、冠婚葬祭、朝市、フェスティバル、教育など日常生活に密着した出来事が満載、地元のスポーツも各紙面には欠かせない。また、人口規模にかかわらず充実しているのが、「文化」面。市民の意見が多数寄せられる読者欄には、直接的な息吹が感じられ、ともに分かち合う気持ちが伝わってくる。 自分たちが暮らす地域の生活情報を、いつも身近に感じていられる環境をつくることができる、これが地元紙のもつ底力。だから、スポーツの底辺も確実に広がっていく。