本文へ移動

今日の試合速報

アジアの頂点まで、あとひとつ! AFC CHAMPIONS LEAGUE 決勝第1戦 5.11(土)19:00KO 横浜FMvsアルアイン 横浜国際競技場 DAZNでLIVE配信!
アジアの頂点まで、あとひとつ! AFC CHAMPIONS LEAGUE 決勝第2戦 5.26(日)1:00KO アルアインvs横浜FM ハッザーア ビンザイード スタジアム DAZNでLIVE配信!

コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

サッカー場

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

J1昇格を決めたC大阪がホームスタジアムの長居陸上競技場(4万人収容)に隣接する長居球技場を、Jリーグの公式試合ができる2万人収容の「サッカー場」に改修する計画を発表した。単なる収容能力の大小よりも、満場感や観客と隔たりなく共有できる空間を創ることを優先したプロビジネスの選択と見えた。 サッカー発祥の英国では、試合を行うところを「サッカー場」と呼ぶ。サッカー場は、“スポーツ文化”の場であり、英国人サイモン・イングリス氏は、「Football Grounds」と題する欧州の写真集を数多く出版してきた。“○○スタジアム”とか“○○アリーナ”という名前は、「サッカー場」を核とした建物全体につけられた総称と言っていい。 30年前、大学の友人とFCリバプールのホーム:アンフィールドで、ボルシア・メンヘングラッドバッハ(独)との試合を観戦した。席は、バックスタンドのセンターライン延長上の最前列だった。

ピッチと同じ高さに位置し、選手の息づかいまで聞こえた。1995年クリスタル・パレス戦で、エリック・カントナ選手(マンチェスターU)が汚いヤジを飛ばした相手ファンに対し起こした悪名高き飛び蹴り事件の後も、観客席とピッチとの距離が遠ざかることはなかった。 野球というスポーツは「野球場」で行うものという文化が確立されているように、サッカーは「サッカー場で」を当たり前の言葉に根づかせていかないと、いつまでたっても“なぜ、サッカー専用なのか”“なぜ、陸上兼用ではいけないのか”という後退した議論に陥ってしまう。Jリーグ誕生前には、1万人以上収容のサッカー場は、東の大宮と西の神戸ぐらいだった。現在、Jリーグ36クラブのホームスタジアムには、J1に9、J2に4、全部で13のサッカー場が備わり、両者の差異も実感されている。

サッカー場では、どの角度から見ても観客と選手との距離が近く一体感が生まれる。そこで醸し出される劇場空間に観客は魅了され、入場料以上の満足感が得られる。TV画面には、緑の芝生、カラーコントラストの効いた両チームのユニフォーム姿、プレーに反応して波打つ観客に臨場感が映し出される。選手にとっても、ピッチの輪郭やゴールマウスの位置が明確でシュートやパスの精度アップにつながる。すべてが、サッカーの文化性を育んでいく。なによりも、すぐそこに感動があるのだ。 Jリーグが生まれてもうすぐ二十歳(はたち)を迎える。“サッカー場”の存在は、プロのスポーツビジネスが地域文化とともに自立していく上で、欠かせない大事な時期に来ている。