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ニュースリリース

企業がスポーツを通じ社会課題解決をアシスト!
5トンの防災備蓄食品をフードバンクへ寄贈
(富士フイルムビジネスイノベーション株式会社、 全国フードバンク推進協議会、環境省、Jリーグ)

世界記録で支えるスポーツ界の功労者

 

サッカーファンにはおなじみ、Jリーグの開幕を告げる大会「FUJIFILM SUPER CUP」。

実はこの大会、ギネス世界記録™を持っていることをご存じだろうか。1994年の大会創設以来、29年間という長きにわたり1つの企業が特別協賛し、「同一企業の協賛で最も長く開催されたサッカースーパーカップ」としてギネス世界記録™に認定されている。平成から令和へ時代を超え、大会協賛を通じてサッカーシーズン開幕の期待と興奮を届け続ける、スポーツ界の陰の功労者が富士フイルムビジネスイノベーション株式会社だ。「FUJIFILM」が誇る写真フィルムの製造技術を応用し、常に時代の先を読み、数々のイノベーションを通じて、今やヘルスケア、マテリアルズ、イメージングなど、多種多様な領域のリーディングカンパニーである富士フイルムホールディングスの事業会社である。

 

 

 

 

 

スポーツを通じたサステイナブルアクション

 

富士フイルムビジネスイノベーションは、スポーツへの協賛と共に、これからの持続的な社会づくりを見据えたスポーツアクティベーションを実践している。今年開催したFUJIFILM SUPER CUP 2022では、富士フイルムビジネスイノベーションが所有する「グリーン電力証書※」を用いて、スタジアムで使用する全電力(約18,000 kWh)を再生可能エネルギーでまかなう地球温暖化防止につながる取り組みを実践。スポーツ大会に取り入れることで、環境に対し広く関心をもってもらおうというものだ。そしてもう1つ、注力した課題がある。食品ロス、そしてコロナ禍で顕著になった「貧困の深刻化」という社会課題だ。

 

さかのぼること2021年10月、翌年2月のスーパーカップを控え、JリーグYBCルヴァンカップ決勝の視察に埼玉スタジアム2002を訪れた富士フイルムビジネスイノベーションの担当者は、スタジアムのある光景に驚いたという。

「スタジアムに着くと、サポーターのみなさんが集う広場では、スタジアムグルメなどの売店とならんで、持ち寄った食材を寄付できるフードドライブ(※)のテントが設置されてあったんです。コロナ禍でもサポーターが気軽に社会連携活動に参加できる企画だと伺いました。聞くと、各地のJクラブがホームタウン活動の一環で取り入れており、サポーターのみなさんにとっても身近な活動になっているとか。これだ、と思いました。」

 

早速、「2月のFUJIFILM SUPER CUP 2022でもぜひやりましょう」と、会場となった日産スタジアムでフードドライブを企画。横浜市だけでなく、対戦クラブのホームタウンやサポーターにも協力を呼びかけ、Jリーグの社会連携活動(シャレン!)の「サステイナブルアクション」として、スーパーカップで初めて、スタジアムでのフードドライブの取り組みを実現した。

 

 

 
 

 

 

 

スーパーカップはシーズンを告げる大会とあって、両チームだけでなく、多くのサッカーファンも訪れる。来場者がたくさんの食品を持ち寄った結果、総量295kgが集まり、横浜市のほか、対戦チームである川崎フロンターレ浦和レッズのそれぞれのホームタウンである川崎市とさいたま市の自治体を通じて、合計6か所のフードバンク団体(※)へ寄贈され、連携する子ども食堂や福祉施設などへ届けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

さらなるアクションへ

 

しかし、これだけでは終わらない。

 

実は、コロナ禍では人々の外出の機会が減り、食材を持ち寄ることで成り立つフードドライブの実施自体が難しくなっていることがわかってきた。コロナ禍で経済的に困窮する世帯が増えており、フードバンク団体全体で需要に対する食材の供給が追いついていないという。

 

「もっと大規模な支援ができないか、考えました」

 

そこで、自社の防災備蓄食品に着目した。

 

「FUJIFILM SUPER CUP 2022でのフードドライブでも、自社からもわずかばかりですが食品を寄贈させていただいたのですが、主にスタジアムに来場されるお客様に持ち寄っていただくための場です。自社からも、より多くの食品を全国のフードバンクに直接寄贈できないか、と考えました。そこで、自社に大量に保管されている防災備蓄食品に着目しました」

 

通常、会社に保管されている防災備蓄用の食品は長持ちするように作られているが、それでも賞味期限までに使用されなければ、備蓄食品全体を入れ替える必要がある。富士フイルムビジネスイノベーションは、神奈川、静岡、岡山、宮城の倉庫に防災備蓄食品を保管している。4か所の倉庫から配送すれば、1か所から食材を運ぶよりも輸送コストを削減しながら各地域のフードバンク団体に届けられる利点があった。

 

「防災備蓄食品は有事の備えですので、使用しないまま賞味期限を迎えるものも少なくありません。全国4か所の保管倉庫を合わせると1回にかなりの量を入れ替えるので、入れ替えのタイミングで送るのが効率的で望ましいだろう。始めはそう思っていました。」

 

「しかし」と担当者は続ける。

 

「食材を送られる方々の立場に立つと、賞味期限がぎりぎりのものを送られても、困ってしまいますよね。そこで、お渡しした後もできるだけ賞味期限に追われず、必要な時にお使いいただけるよう、備蓄倉庫の食材の入れ替えのタイミングを待つのではなく、十分に賞味期限が確保された食材も含めてお渡しすることに決めました」

 

 

 

防災備蓄食品の一例(提供:富士フイルムビジネスイノベーション)

 

 

 

1人の「思い」が仲間を呼ぶ

 

後日、Jリーグの担当のもとへ、富士フイルムビジネスイノベーションより一本の電話が入る。Jリーグの担当者は言う。「大会を通じたフードドライブの件で、とおっしゃるので、お話を伺うと、『うちに防災備蓄食品があるので、全国のフードバンク団体に寄贈したいです』と。寄贈先をつなげてほしいというご相談でした」

 

Jリーグの担当者は総量を聞いて驚いた。

 

「約5トン、3万1,000食あります、と。例えば、先日のスーパーカップで寄贈させていただいた食材の総量が295kgでしたので、桁違いの量にびっくりしました。」

 

そして、すぐに頭を抱えた。

 

「もともとフードドライブの寄贈先の関係者の方々から、コロナ禍で食材を必要とされているご家庭や子どもたちが増えていることを伺っていたので、きっと喜ばれる、と思いました。一方で、一度に5トンを受け入れられるような受取先が果たしてあるのか。我々だけでは全く判断がつかなかったので、Jリーグが連携協定を結ばせていただいている環境省さんに相談させていただくことにしました」

 

環境省の担当者は、Jリーグからの相談を受け、早速動いた。

 

「Jリーグさんから、富士フイルムビジネスイノベーションさんによる寄贈のお話を伺った際、連携先である全国フードバンク推進協議会さん等とともに受け入れ可能なフードバンク団体と連絡・調整し、寄贈先をご紹介しました。」

 

環境省にて本件を総括した環境再生・資源循環局次長の土居健太郎氏は続ける。

 

「実は日本全体で、年間570万トン、東京ドーム約5杯分、国民一人あたり年間約45kgのごはんを廃棄していることがわかっています。一方で、子どもの7人に1人が食事に困っているという報告もあるんです。つまり、たくさんの食料が捨てられている一方で、日々食べることに困っている人たちがいる。食品ロスは、私たちの身近にある問題です。フードドライブ活動は、家庭や企業で食べきれなかったり、使い切れなかったりする食材を集める取り組みで、食品ロスへの1つの解決策として有効です。環境省では、せっかく集まった食材が無駄にならないよう、集まった食材を、適量ずつ、適所にお届けするため、全国に多くの加盟団体をもつ全国フードバンク推進協議会さんと連携させていただいています。」

 

「それでも・・」と続ける。

 

「1度に5トンという量はなかなか聞きませんでしたので、初めに伺ったときは驚きました。環境省としても、お預かりした食品が無駄にならないように寄贈先を慎重に調整しました。何より、うちの若手職員がやりがいを感じている姿をみて、喜んで協力させていただくことにしました。」

 

活動の意義

 

こうして、5月13日(金)、都内の富士フイルムビジネスイノベーションのオフィスで寄贈式が行われ、防災備蓄食品約 5 トン(31,000 食分)が、環境省の協力のもと一般社団法人全国フードバンク推進協議会等の加盟フードバンク団体など8つの団体に寄贈された。寄贈された防災備蓄食品は今後、全国の必要とされる方々に寄贈される。

 

寄贈式には、富士フイルムビジネスイノベーション・環境省・全国フードバンク推進協議会・Jリーグの 4 者が参加した。

 

 

 

(左から日本プロサッカーリーグ 理事 髙田 春奈、富士フイルムホールディングス株式会社 執行役員 吉澤 ちさと、全国フードバンク推進協議会 代表理事 米山 廣明、環境省 環境再生・資源循環局次長 土居 健太郎。敬称略。提供:富士フイルムビジネスイノベーション)

 

 

寄贈式の席で、富士フイルムホールディングス株式会社 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 兼 ESG推進部長の吉澤ちさと氏は、自社が取り組む意義をこう述べた。

「無駄を出さずに事業を行うことはビジネスをする上での参加資格ですし、社員同士の合言葉でもあります。賞味期限が過ぎる前に、社内の防災備蓄食品を寄付することで、食品ロスに貢献することは、生産時の廃棄物も含めて無駄を出さない、という考えとつながっており、本業を通じた活動と不可分です。」

さらに、4者による連携について、

「一企業の活動の枠組みを超えた社会課題解決への貢献に繋がる事例として広く知っていただき、同様の活動が、より広がっていくきっかけとなればと思っている。日本のサッカー界が挑戦の進化を続けてきたように、わが社も革新を与える存在になることを目指したい」と今後の発展について抱負が語られた。

 

Jリーグからは、社会連携活動(シャレン!)の担当理事でもある髙田春奈が登壇し、

「富士フイルムビジネスイノベーション様のご協力を通じて、FUJIFILM SUPER CUP 2022でフードドライブの取り組みができましたこと、さらに、今回このような寄贈のご相談をいただいたことで、Jリーグとして食品ロスの問題にかかわらせていただいたことを感謝申し上げます。」と述べ、「20以上のJクラブがホームタウン活動を通じてフードドライブに携わらせていただいておりますが、一度に5トンもの食品を寄贈され、それらが全国に行き渡る規模での実施は、リーグやクラブ単体では到底難しいです。富士フイルムビジネスイノベーション様だからこそのインパクトある取り組みであると思います。」と活動のインパクトについて語った。

 

そして、フードバンク団体を代表して実際に約5トンの防災備蓄食品を受け取った、一般社団法人 全国フードバンク推進協議会 代表理事 米山 廣明氏は、協力者へ感謝を述べたあと、コロナ禍でのフードバンク推進の難しさについてこう言葉をつないだ。

「コロナ禍になって、備蓄用倉庫が空っぽになった、というフードバンクも少なくありません。需要に供給が追い付いていません。」

「フードバンクの提携先のとある中学校から伺った話です。生徒さんが所属する部活動の大会があり、大会のときに昼食のお弁当が準備できないので、大会を休ませざるを得ない、と生徒さんのお母さまから電話があったそうです。お弁当が経済的に準備できないご家庭もあるというお話です。実際、貧困世帯の子どもたちの中には、経済的な理由でスポーツを途中であきらめ、挑戦の入口の時点でお金ないから部活ができない、という子どももいることも現実です。」

「以前と比べるとフードバンクの認知度や、食品ロスや貧困問題に対する理解が浸透しつつありますが、少し前までは「日本には貧困はない」という風潮が一般的でした。コロナ禍で誰もが貧困に陥る可能性ある、身近な課題という認知が広がってきました。」

「こうした中、食品メーカー様が自社生産品の一部をフードドライブに寄贈いただくことはありますが、食品メーカーではない企業様が、一つの企業として、これほど巨大な規模の備蓄をフードドライブへ寄贈いただいた事例は、これまでなかなかないと思います。規模に関わらず、食品メーカーではない企業様にもこの問題に取り組んでいただける、こういう方法もある、という理解が進むことを期待します。本日は誠にありがとうございました。」

 

 

以下、注釈

ギネス世界記録™「Longest sponsorship of a football (soccer) super cup」として認定されている

グリーン電力証書システムとは

日本自然エネルギー株式会社発行の風力発電によるもの。自然エネルギーにより発電された電気の環境付加価値を、証書発行事業者が第三者認証機関の認証を得て、「グリーン電力証書」という形で取引する仕組み。「グリーン電力証書」を購入する企業・自治体などが支払う費用は、証書発行事業者を通じて発電設備の維持・拡大などに利用される。証書を購入する企業は「グリーン電力証書」の取得により、発電設備を持たなくても、証書に記載された電力量(kWh)相当分の自然エネルギーの普及に貢献しグリーン電力を利用したとみなされるため地球温暖化防止につながる仕組みとして関心が高まっている。

フードドライブとは

家庭などで余っている食品を集め、それらをまとめて地域の福祉施設や団体などに寄贈する活動で、多くのファン・サポーターが集まるJリーグのスタジアムの特徴を生かし、多くのJクラブがホームタウン活動の一環で推進している。

FUJIFILM SUPER CUP 2022で実施した際には、「賞味期限が明記され、2か月以上あるもの」「常温で保存できるもの」「未開封のもの」を募集。対象となったのは、穀類(米、小麦粉など)、缶詰、インスタント・レトルト食品、お菓子、調味料、乾物(乾麺、海藻など)、飲料など。参加された方に先着で大会オリジナルのサンクスカードを配布した。

 

フードバンクとは(一社フードバンク全国推進委員会より)

安全に食べられるのに、包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で、流通に出すことができない食品を企業などから寄贈していただき、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動。今回の取り組みは、企業の防災備蓄食品の寄贈という形がとられた。

FUJIFILM SUPER CUP 2022サルテイナブルアクション

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