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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

オーケストラとホームタウン

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東京都墨田区に「すみだトリフォニーホール」が誕生して10周年の記事(朝日新聞)を見た。小澤征爾氏も指揮した新日本フィルハーモニー交響楽団の“ホームホール”である。ホールの立ち上げから完成まで友人が責任者の一人として関わっていたため、話を聞きに完成前後に何度か足を運んだことがある。 オーケストラにおける“ホーム”(本拠地)の条件とは何だろう。(1)コンサート開催のため優先的に使用できる音楽専用ホール (2)複数の練習スペース (3)楽器の専用保管スペース (4)事務所スペース などを同一ホール内に常時確保できるということか。Jクラブのホームスタジアムと共通する点が多い。 自治体がホームタウンとして、一つのフル・オーケストラの“ホーム”に公共の音楽専用ホールを提供することはわが国ではこれまでなかったことだ。

名高いこの新日本フィルでさえ、以前は品川にある某社2階の大食堂などを練習場所に借りていたと聞く。 建設計画が決まった早い段階から楽団員がホームタウン(墨田区)内の小中学校に出向き、日常に楽器の指導やコンサートの開催など地域との交流を続ける。こけら落しを前に、満員の観客を想定したホール内部の音響調整が本番さながらに行われた。招待された約2千人の地元住民の前で、小澤氏と楽団員たちとの普段のコンサートでは見られない楽しいやりとりが場内を笑いに包み込む。こうした長年にわたる地道な地域活動が実を結び、今では地元オーケストラとして親しまれている。 ドイツでは、子供たちが音楽を学びたければ、スポーツと同様に地域の音楽学校(Musikschule)を利用できる。

5万人以上の都市に必ず一つは音楽学校が置かれ、プロの指導者によって各種楽器を教わることができる。ここで練習した子供たちは、地元オーケストラ楽団員のひよこたちだ。コンサートの舞台でひよこたちの成長する姿を地元の人々が見守る様子は、地域のスポーツクラブの日常と変わらない。 今日、スポーツの開会式や閉会式あるいは応援スタイルには音楽的・芸術的な演出が巧みに施されて観客を楽しませる。ある委員会でマラソンの五輪銀メダリスト:有森裕子さんとご一緒したときに伺った。「スポーツ文化とは、競技性、芸術性そして音楽性がうまく結びついたものですね」。幸せな地域社会づくりのためにはどれも大切な生活文化である。