本文へ移動

今日の試合速報

アジアの頂点まで、あとひとつ! AFC CHAMPIONS LEAGUE 決勝第1戦 5.11(土)19:00KO 横浜FMvsアルアイン 横浜国際競技場 DAZNでLIVE配信!
アジアの頂点まで、あとひとつ! AFC CHAMPIONS LEAGUE 決勝第2戦 5.26(日)1:00KO アルアインvs横浜FM ハッザーア ビンザイード スタジアム DAZNでLIVE配信!

コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

食と誇り

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ドイツのスタジアムで飲むビールはどれも地ビールである。ケルンのスタジアムではケルシュビアー、フランクフルトではビンディングあるいはヘニンガー、他地域のビールはアウェイだから扱われない。サポーターは、サーバーから注がれるアイデンティティに満ちた水で祝杯を挙げる。銘柄数が約6千種で1,300といわれる醸造所が全国に分散しており、その土地々々を訪れないと飲むことは容易ではない。 世界的なワインの産地:フランス-ブルゴーニュ地方を代表するサッカークラブ、オセールがリーグ優勝した1995-96シーズンのこと、ホームに宿敵パリ・サンジェルマンを迎えた。

試合前のピッチ上でオセールからパリに地元のブルゴーニュワインがプレゼントされるセレモニーがあった。そのとき流れたアナウンスにスタジアム内が歓声に包まれる。「パリでは飲めない最高のブルゴーニュワインを召し上がれ!」 フランス・シャンパーニュ地方で製造されたものだけが“シャンパン”だという誇りから、アメリカで造られるものは「スパークリングワイン」に変わったと聞く。ドイツ産は「ゼクト」、イタリア産は「プロセコ」という。ウィスキーでも同様に、英国で造られるものはWhiskyだが、米国・アイルランド産はWhiskeyと綴りを差別化しているものが多い。 欧米では、地元でとれた一番美味しいものこそ、地域みんなで飲食するのが当たり前。一方、日本でテレビや新聞が報じる旬の便りはどうだろう。「消費地としての発信」ではなく「生産地としての発信」をしている。

例えば、“指宿(鹿児島)に住む人々が美味しいソラマメを今年も食するうらやましい季節がやって来ました”ではなくて“指宿の美味しいソラマメが今年も都会に出荷される季節がやって来ました”という具合に。 ドイツにはミシュランの星を冠するレストランが180(2003年)ある。人口340万人の首都ベルリンには僅か6軒しかなく、大半が都会とは縁遠い自然豊かな田舎町にある。6割の100軒が人口5万人未満のまちに、1万人未満のまちにも32軒ある。 地方がもつ消費地としての優位性は、小さな町や村に暮らす人々に自信と誇りを与える。スポーツクラブのクラブハウスには、地ビールや地ワインを飲みながら仲間と語らうことを楽しみにする会員がいつも集まって来る。 地元に愛される店にはいつも常連客があふれ、ミシュランの星を冠していても表には店の看板すら見えない。それが地域の誇りの証(あかし)である。