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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

野球少年の夢

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Jリーグのチーム名は発足当初から都市名を冠する。プロ野球においてこの歴史は古い。ただし、都市名を冠していながら理念は企業スポーツであった。プロ野球のキャンプ天国、高校野球王国の土佐に生まれ育った私もかつては野球少年の一人だった。 松坂投手の大リーグ入りに際し、ボストンで行われた小澤征爾氏と星野仙一氏の対談をテレビ中継で見た。二人が口にするチーム名は、番組の最後まで終始噛み合わない。ボストン交響楽団の音楽監督として30年余暮らした小澤氏は、長時間ずっと“ボストン”と“ニューヨーク”でチーム名を語る。

星野氏は“レッドソックス”と“ヤンキース”。地域文化として誇ってきた米国大リーグと国民娯楽として親しんできた日本プロ野球の違いを物語るエピソードである。Jリーグの理念はまさに小澤氏のこの言葉に尽きる。 同僚の市川豊英がまとめた「プロ野球チーム名の変遷(1934~2008)」によると、セリーグでは、1950年広島カープ、78年横浜大洋、2006年東京ヤクルトと地名がついた。一方、中日は1943年までの名古屋軍、巨人は46年までの東京読売巨人軍、阪神は60年までの大阪タイガースを最後に今日までチーム名から長く地名を外している。 パリーグでは、1989年南海ホークスを引き継いだダイエーホークスが、本拠地福岡の名を冠し初めて本格的に地域に根ざした経営方針をとった。以降、92年千葉ロッテ、99年大阪近鉄、04年北海道日本ハム、05年東北楽天、そして今年から西武ライオンズにも“埼玉”という地名がついた。

04年大阪近鉄と球団統合したオリックスには地名がつかない。 これまで野球界は企業スポーツの中で右往左往してきたが、地域スポーツとしてようやく動き始めている。 2年に一度行われるプロ野球世論調査によれば、05年一番好きな球団は北海道地区では地元ファイターズが、九州地区でも地元ホークスが初めてジャイアンツを抜いて首位になった。最近では観客数の伸びはむしろパリーグの方が高い。もしも広島カープとオリックス(本拠地:大阪)が互いのリーグを入替われば、本拠地が三大都市圏にある都会リーグと本拠地が地方にありチーム名に地名を冠した地域密着リーグに区別され面白いことになりそうだ。 Jリーグの百年構想に思いを馳せれば馳せるほど、かつて地域対抗の高校野球にあこがれた野球少年の夢は広がっていく。