本文へ移動

今日の試合速報

アジアの頂点まで、あとひとつ! AFC CHAMPIONS LEAGUE 決勝第1戦 5.11(土)19:00KO 横浜FMvsアルアイン 横浜国際競技場 DAZNでLIVE配信!
アジアの頂点まで、あとひとつ! AFC CHAMPIONS LEAGUE 決勝第2戦 5.26(日)1:00KO アルアインvs横浜FM ハッザーア ビンザイード スタジアム DAZNでLIVE配信!

コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

続・スポーツの土台

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

昨秋、ブンデスリーガの名門ヘルタベルリンを訪問した際、ベルリンの壁跡に足を運んだ。1989年、この壁の崩壊をきっかけに、40年間続いた社会主義体制に終止符が打たれ、90年11月3日東西ドイツは統一。同月21日には発祥の地ライプチッヒで、東西のサッカー協会も再び一つ(DFB)にもどった。 高失業率を抱える地域の経済復興に着手する前に、荒廃した鉄道、道路、住宅,公衆回線など社会生活の土台を一刻も早く修復することが最優先された。スポ-ツ施設の修復と新設も同じくその一つ。生活力に乏しかった旧東ドイツ時代には、余暇を楽しむ余裕もなく豊かなスポーツライフなど夢のまた夢。それほどまでに心身とも疲弊していた。 連邦政府は、すぐさま15年計画の“東のゴールデン・プラン”(スポーツ施設整備計画)をつくった。

総予算は、西のプランに比べ10倍の約15兆円。すべてが公的資金によって、半分は国が、残りの半分は州及び地元自治体が負担した。 計画目標年次の2005年、旧東ドイツのスポーツクラブ数は1万5千と7割の増加、会員数も175万人と6割も増え、西の水準にはほど遠いものの効果は着実に現れている。 90年につくられた“東のゴールデン・プラン”の考え方は、西のプランから30年を経て、内容が大きく進化した。 芝生のグラウンド、体育館、プールの「基本施設」に、テニスコートが加わる。テニスは、サッカー、体操に次ぐ人気スポーツとなり、05年の登録会員数は全国で171万人にのぼる。また、障害者が利用できる施設を整備することも新たに必須項目になった。 注目点は、クラブハウス。更衣室や衛生設備に加えて、飲食等による対話機能を求めた。これからのスポーツクラブには、社会的なコミュニケーションの場が必要である。地域の社交・交流の場や誰もが自由にくつろげる空間の提供をクラブハウスに期待している。

ある小さなスポーツクラブの会員募集に、“スポーツをしない会員”を見つけた。会費は、正会員の半額とある。「どういう会員ですか?」と訊ねたところ、“クラブハウスで仲間と飲食しながら、楽しい時間をすごすだけで幸せな会員”だという。クラブハウスは、スポーツをする・しないを問わず、地域の重要なコミュニケーション場としての使命がある。 社会が成熟するにつれて、「豊かさ」を表現する動詞は、have(持つ)からbe(在る)に変わっていく。クラブハウスが、いつも人々の心を“幸せな時”で潤してくれるように。 わが国も、このような社会的共通資本となるスポーツの土台を築いていかねばならない。