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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

スタンドのデザイン

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FIFAワールドカップを開催した日本の会場は、どこも収容能力4万人超の大スタジアムだ。かなりの観客数を記録しても、満員でない限りスタンドに大きな空席のブロックが目立つ。観客数にはとらわれず、スタンドのデザインに工夫を凝らすだけで、スタジアムの存在感が変わる。 今年3月に訪問したイングランド:チャンピオンシップリーグ(2部)のプレストン・ノース・エンドというクラブでの話。面する通りの名“Deepdale”の愛称で親しまれるスタジアムは、世界最古のプロサッカーの場。そのスタンドが楽しく彩られていた。

メインを除く3方のスタンドに、シートに色彩を施して、選手の大きな“顔”が巧みに描かれている。いずれも、このクラブが誇る往年のスターたちの肖像だ。余談だが、デビット・ベッカムが1995年ここで5試合プレーしたことがある。 バックスタンドの顔は、サー・トーマス・フィニー。1940~50年代にかけて、スタンレー・マシューズとイングランド代表最強の両ウイングを組んだ伝説のプレーヤー。 向かって左のホーム側のゴール裏には、アイルランド代表GKとしてW杯で来日したこともあるアラン・ケリーの顔が描かれる。 アウェイ側のゴール裏スタンドには、クラブ在籍16年、296試合に出場したスコットランド代表のウィングバック:ビル・シャンクリーの顔が浮かび上がる。下部リーグに低迷していたリバプールを、1960年代に監督としてFAカップやUEFAカップに初優勝させ、一躍世界の強豪クラブに押し上げた名将として有名である。 「試合中はビルの肖像部分には着席させない。その顔を境に、ホームとアウェイのサポーターが両側に分かれるんだ」と、案内役の青年が微笑みながら教えてくれた。顔の輪郭が緩衝地帯となった応援風景を想像したら、こちらも思わず笑ってしまう。

かつてスタジアムで出会い、サポーターみんなの人生に深く関わってきた英雄たちの“肖像”が、アイデンティティや誇りとなって今もスタンドに生き続けている。 残る座席の色は、すべてクラブカラーの青色。たとえ空席があっても、クラブカラー一色に染まっていれば、ホームの雰囲気を自然と盛り上げてくれる。 スタンドを楽しくデザインできるのは、スタジアム全体をいつもクラブ第一に考えているからだろう。Jリーグも15歳。この間、クラブには自ずと伝統や歴史が身についてきた。 遊び心をもったスタジアム所有者のみなさん!肖像とは言わなくとも、エンブレム、取得タイトル、マスコットなどで挑戦してみる価値ありと思いませんか?