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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

スポーツ種目の数え方

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フィッシング(67万人)、ダンス(21万人)、チェス(10万人)、ビリヤード(5万人)・・・いずれも歴としたドイツスポーツ連盟に加盟のスポーツ団体(登録会員数)。種目の数は、スポーツという概念の寛容さに比例している。複数種目ができる総合型クラブを提唱する日本では、明治時代に「スポーツは体育」と狭めた概念を大胆に切り替える時期に来ている。 松山市の姉妹都市フライブルク市(ドイツ)は人口20万人の町。市のスポーツ課を訪ね、スポーツクラブについて話を伺ってみた。町には、146ものクラブがあり、5万5千人もの会員がいた。4人に1人がクラブ会員、1クラブに平均380人が所属する。 最小クラブは、7人のローラースケートクラブ。最大は、体操種目を中心に会員数6千人で、政治への影響力も大きい。

また、外国人だけのサッカークラブや身体にハンディのある人だけで運営するクラブなど、だれでもスポーツを楽しめる理想的な環境があった。 146のクラブを紹介した本の中に、いったい何種目あるだろうかと数えてみた。一番人気はサッカーで29クラブ、(2)テニス22、(3)バレーボール21、(4)体操19、(5)卓球17、(6)バドミントン11。7番目にはハイキング10がスポーツ種目に登場する。そう言えば、フランクフルト近郊で活動風景を覗いた「犬と友だちのクラブ」もスポーツクラブだった。 スポーツは、「気晴らしをする」「楽しむ」「遊ぶ」を意味する仏語 “déporter” に発する言葉。心が楽しくなり、その人生が豊かになるものであれば、レクリエーションである「歌うこと」も「絵を描くこと」もスポーツの仲間に迎えられよう。故郷の高知城下には、昔から愛好家が集まって縁台で将棋を指す光景が今も続いている。これも1種目に数えたい。 1種目でも、性別・年齢別・目的別に分けられる。体操を例にとると、器械・幼児・子供・女性・親子・老人・フィットネス・ストレッチなど、どれも単独種目として扱われる。 外国でイタリアンレストランに入ると、メニューにはないパスタを注文することが楽しみだ。<パスタの種類>と<ソースの種類>の組合せの数だけメニューが存在するはずと考えるから。陽気な店員さんも負けじと「もちろんできるさ!」と応えてくれる。

同様に考えれば、<基本種目>と<会員の種別>の組合せの数だけスポーツの種目も広がる。 町にはいろいろな人々が暮らしている。だれでも、どんな種目でもスポーツを楽しむことができる町。そんな町にあるクラブのスポーツ種目の数え方は、誠に寛容で心楽しい。 ようやく、フライブルク市146クラブが行うスポーツ種目を数え終える。178種目だった。