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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

1円の力

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人口が多くないから、財政力が十分ではないから、主たる大きな企業がないから・・・と言って、全国各地で平成の大合併が行われた。こうした地域をホームタウンとして、Jリーグを目指し活動するクラブの中には、経営に苦しむところが少なくない。なるほど「大きいこと」も大切だが、そもそも個の存在や魂をどこかに置き忘れてはいないだろうか。 2年前、ノーベル物理学賞受賞(2002年)の小柴昌俊さんの『やればできる』と題した講演にとても感銘をうけた。話は、13歳のとき小児麻痺にかかり、「まずは、自分一人だけで何とかすること」を学んだというところから始まった。

受賞後の03年、基礎科学をする楽しさを日本中に普及することを目的に、平成基礎科学財団を設立。高校生を対象に「楽しむ科学教室」を開催したり、理科の楽しさを教えた先生を表彰したりする。財団経営の中で、「自分一人だけではできないこと」を学んだと語る。 基礎科学は、みんなのためのもの。小柴さんは、産業や経済団体の寄付だけに頼らず、景気・不景気に関わらず、1円の単位で賛助会員を募り、広く国民一人一人に自分たちの基礎科学を支えてもらいたいと願った。自治体には、住民一人1円の単位で会員になってもらう。趣旨に賛同した人口195万人の岡山県では、毎年195万円を納めている。 賛助会員リストの最初に不思議な記載がある。「高貴な御二方、年間2円、102004年度分迄払込済み」。これは、2004年度に、御一人が1円を10万年先まで計20万2円寄付されたという意味だと伺った。

スポーツにも同じことが言えるだろう。Jリーグ百年構想のスローガンは、“スポーツで、もっと、幸せな国へ”。人口の多い地域だけが、財政力の豊かなまちだけが、クラブを支える有力な企業があるところだけが、その対象ではない。1円という最小単位から地域みんなが知恵を絞れば、日本中に存在するグラウンドの数だけHome Teamは生まれ、スポーツの楽しさを広めていくことができるはずである。 60万人と全国で最も人口が少ない鳥取県。ここでいま、“山陰からJリーグへ”の夢と地域の誇りを胸に、JFLの上位で奮闘するガイナ-レ鳥取には、「1円の力」が必要だ。県民一人が1円を毎日支援し続ければ、年間では2億円強の地域力が生まれる。頭の中では簡単な計算だが、それがなかなか実行できない。鳥取県の、いや山陰の人々にとって、地域を思う気持ちとその行動力を示す上で、試してみる価値が大いにあると思う。 地方分権社会の基盤は、「個の自立」。一人1円の精神が、個の力として反映される。