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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

準加盟クラブの原点

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数年前、南ドイツにある人口2万人のまちガルミッシュ・パルテンキルヘン(GAP)を休暇で訪れた。第4回冬季五輪(1936年)の開催地は、いまも毎年元日からスキーW杯ジャンプが行われる世界的なスポーツ保養都市である。 土曜の午後、街なかを散歩中にサッカーの試合の案内をみつけ足を運んだ。ホームチーム1.FC GAP1928と対戦相手SC Oberweikertshofenは、ともにブンデスリーガを頂点とした17段階あるピラミッドの中で、下から4番目、郡の南地区リーグに属した。 「Ritter‐von‐Halt‐Stadion」の名を冠したスタジアムの入口で、チケットを求める。大人8マルク(当時)、ペアなら10マルクとある。ペアチケット1枚を購入し、マッチデープログラムをもらった。チームカラーの薄紫色にエンブレムをデザインしたチケットは、通し番号のみが打たれた簡素なもの。

ホームゲーム時には、昔からずっとこれを使用し続けているのだという。 アルプス山脈を望むメインスタンドには約300の個席が並び、そのすべてを屋根が覆う。仔犬連れの若夫婦も、ペアチケットの常連客に違いない。驚いたことに、椅子のスポンサーとして個人や企業の名を刻んだメダルが、背もたれの内側に埋め込まれている。我がまちの「マイシート」で、チームを応援する一体感のある日常。その延長線上に、「シーズンチケット」がある。 スタンド最上部には小さな売店があり、マフラー、旗、マスコットなどのグッズも揃う。その隣に、なにやら大人の雰囲気を漂わせる空間があった。クラブハウスを兼ねたパブ(Stube)だ。焼きソーセージと地ビールですっかりできあがった地元GAP人たちは、我がクラブの未来について、試合前から熱く語り合う。

マッチデープログラムは、A5版36ページの白黒刷りの、いかにも手作り風。中味は、6才から18才まで8クラスに分かれた下部組織のチーム情報が目につく。スタンド最上部にある、“我々はクラブの『新芽』を支援しています”と書かれたパネルには、多くの地元企業が並ぶ。企業だけでなく、個人でも一口50マルク(5千円)から気軽にサポートできる仕組みだ。プログラムには、毎回新たな支援者名が紹介され、それに応えて子どもたちの感謝の言葉と戦績報告が詳しく添えられ、実に微笑ましい。 全国2万7千に及ぶ、我がまちのクラブによってしっかりと支えられた底辺の存在が、頂点にあるブンデスリーガを揺るぎないものにしている。