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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

応援歌のちから

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2006FIFAワールドカップドイツ大会の準決勝ドイツ対イタリア戦を前に、フランクフルトのマイン川中央に設置された巨大スクリーンをはさむ両岸では、2万人を超す独サポーターが応援歌を何度も合唱していた。 歌詞の中に、「höcheste Spielkultur」(最高のスポーツ文化)という言葉が登場する。“Spiel”とは、「遊び(心)」を意味し、スポーツや楽器を表す語とともに用い、「好きで楽しむ」「みんなで楽しむ」という意味合いが強い言葉である。 決勝戦当日のベルリンの街角では、あちこちでイタリアのサポーターが手にした大きな国旗を突き上げ、応援歌を歌いながら行進を始める。

やがて仲間がどんどん列に加わり、行列は次第に長く大きくなっていく。 試合後、イタリアの勝利を喜ぶ同胞たちが自動車の窓から国旗を踊らせ、試合に関係のない人々の車もクラクションを鳴らしてともに祝う。このときだけは、騒音問題など迷惑がる人はほとんどいない。 一方、見知らぬ外国人と歓喜を分かち合えない日本人の姿に出くわすことが多く、ましてやサッカーを応援するという同じ目的でドイツを訪れたはずの日本人同士が、互いに言葉を交わすこともない光景を見るのは残念だった。 サッカーでは、旗や歌が戦争の影を引かず、狭小なナショナリズムにはつながりにくい。

これは、文化として育まれた地元のクラブが、百年以上の歳月をかけてなしえた業(わざ)である。17年目のシーズンを迎えたJリーグに、同様の成熟度を性急に求めるのは無理な話だが、独自の歩調で確かに成長を続ければ必ずやその域に達する。 その第一歩は、「他(人)を受容れること」にある。地元(の人)と深く関わり合うことで生まれる愛郷心は、“Spiel”の本来の意味を知り得る日常のスポーツ文化を育てていくだろう。 コミュニケーション“Communication”という言葉は、「分かち合うこと」を意味するラテン語の“communicatio”に由来する。スタジアムの内外を問わず、チームを応援するもの“全員”の「共通語」となる応援歌があれば、同じ思いをいつも分かち合えるだろう。