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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

アートの泉

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フランクフルトの美術館や博物館は、毎週水曜日に入館料がすべて無料になり、閉館時間も17時から20時に延長される。そのわけを窓口で尋ねると、「市民への贈り物です」と微笑んだ。 世界的な“金融の街”が、ドイツ有数の“文化都市”であることはあまり知られていない。その象徴が、都心を流れるマイン川南岸(通称ウーファー)に並んだ7つの美術館・博物館通り。映画博物館やシュテーデル美術館など6つは、もともと街中に散らばっていた。北側の既存館と併せ13館すべてを川の両岸に集約したのは、1970年ミュンヘン市から文化局長に招聘されたヒルマー・ホフマンだった。 彼は、著書『皆のための文化』の中で、「都市にとって、文化は経済のためにも必要だ。良い人材は、文化のある環境に集う」と説いた。

その結果、就任当時に年5%だった市の文化に対する財政支出割合は、彼の離任する20年後にはドイツ第一位の11.5%になっていた。 水曜日には、先生に引率された小学生たちが、絵や彫刻などをお手本に芸術を楽しく学ぶ姿をよく見かけた。子どもたちの周りに本物のアートがいつも存在する環境は、スポーツ文化を育む雰囲気づくりと無縁ではない。アートは、イマジネーション(創造力・想像力)を培う心の糧である。欧州や南米の選手が自然にみせる芸術的なプレーは、誰かに教えられた技術や発想から生まれたものではない。どれも、幼いころのアートに包まれた日常から生まれた、一瞬のひらめきであり、研ぎ澄まされた作品の数々である。 大原美術館の大原謙一郎理事長は、美術を快く楽しみ、作品に親しむためのプログラムを地元倉敷の子どもたちに提供している。

地域社会にとって、美術館や博物館が幼い頃から身近にあれば、その子が本来持っている可能性を自ら実現させる力になり得る。米国のシカゴ美術館も、5月下旬から9月上旬の毎週木曜と金曜には、午後5時から9時まで無料開放される。この贈り物は、仕事帰りの市民や家族連れに好評である。 そこに文化が存在することによって、市民が、地域社会が、この国が、明るく、楽しく、豊かに、幸せになっていく。なぜなら、触発され発想することは、自己の確立にほかならないから。美術館や博物館と同じく、Jリーグはその連鎖の源泉でありつづける。