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コラム

百年構想のある風景

2015/1/30 10:00

翔べ!薩摩

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新幹線は、新青森延伸に続き3月12日九州鹿児島ルートが全線開業した。本州最北の津軽から陸路10時間でつながる先に、幕末・維新の新しい夜明けに関わった薩摩がある。 20年前、その鹿児島に赴任した。折しも、日本が招致活動中の2002FIFAワールドカップの会場に名乗りをあげようと、地元は盛り上がっていた。2年後に、Jリーグが開幕した。当時、ともに横浜フリューゲルスの準ホームタウンだった熊本(J2)や長崎(準加盟)には、いま地元のクラブが在る。昨年宮崎がプロバスケットのbjリーグに参入すると、九州・沖縄でプロスポーツの地元チームがないのは鹿児島だけに。 もとより、鹿児島は日本有数のスポーツ王国。高校サッカー、野球を始め、昨年は男子高校駅伝で初優勝を果たすなど数々の実績を誇る。これまで、多数のJリーガーを輩出している(約60人全国第11位)。

中でも、日本代表は、前園、城、遠藤をはじめ、子どもたちの憧れる選手が多い。その源泉は、鹿児島実業(選手権優勝2回)、神村学園、鹿児島城西などの強豪校の存在にある。女子では神村学園、大学では鹿屋に唯一国立の体育大学がある。また、Jリーグのキャンプ地として、指宿に浦和レッズ、国分に京都サンガなどが毎年陣を張ることは、身近で一流に触れる貴重な機会である。サッカー人口(JFA登録者数)は全国第17位、約16千人の多さ。上位の地域には、すべてホームチームがある。 このような恵まれた環境ならと思うが、未だJリーグの胎動は聞こえてこない。J2の二つ下、九州リーグにようやく鹿児島の2チームがのぞく。毎年高校生の多くが県外に流出することに悩むこの地に、もしもプロのクラブがあれば、子どもたちは、どんなに地元に憧れ、鹿児島を誇り、チームの頑張りと誉れに希望と勇気を抱くことだろう。 乱暴だが、Jリーグのシナリオを描いてみた。人口60万人の県都鹿児島市にホームタウン、市内の鴨池競技場を複合型の“街なかスタジアム”に、アクセスは自慢の市電トラムとコンビチケットで。スタンドから、眼前に桜島が一望できる。

関西(4)中国(3)四国(2)九州(5)の14のホームタウンとは新幹線で一つにつながり、観光を兼ねたアウェイツーリズムの楽しみも互いに膨らむ。 司馬遼太郎は、著書『歴史を紀行する』(文春文庫)の中で、風土を語る日本代表選手は、津軽と薩摩だと述べる。津軽は、太宰治に代表されるように、「人生とは何か」を考える風土。対して薩摩は、「日本はどうなる」を考えるところだという。その証拠に、日本の歴史上これまで五度にわたり、日本(中央)そのものに大規模な戦いを挑んでいる。 翔べ、薩摩! 全国の同志が待っている。