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コラム

百年構想のある風景

2015/1/30 10:00

With You 共に在る

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昨夏から仙台市役所職員向けの「せんだい大志塾」を毎月開催、3月8日に塾生による「未来の仙台」と題する最終発表会が行われた。その中で、『地震に負けない仙台』をテーマにした塾生が、「つながり」や「絆」が仙台を救うと唱えた。その3日後だった。東日本大震災は、一瞬にして日本の未来を暗闇に引きずり込んだ。被災者の方々は、今も先の見えない無常の日々を送られている。 先生と呼ばれる医者の立場でも、患者から学ぶことは多い。血液専門医の鈴木憲史博士によれば、たとえ白血病になっても良くなる人には共通点がある。「朝に希望、昼に努力、晩に感謝」のリズムで明るく生きること。阿久悠の歌詞ではないが、目覚めは明るく希望があるから頑張れる、そして感謝で一日を終える。そうした希望を抱き感謝する我にとって、友は自分を映す鏡そのものである。 地震直後から、世界中のサッカー仲間が、自らの試合を通じて敵味方の区別なく、心温まる応援メッセージを届けてくれた。言葉は異なれども、どれもが「共に在る」(with you)という意識。

ベガルタ仙台の選手が市内の高砂市民センターを訪れ、避難生活が続く子どもたちに自らのジャージやウェアを贈った。早速それを着た子どもたちは、「V仙台のエンブレムがあるものを着られてうれしい」と、選手と共に在ることに笑顔を取り戻した。 サポーターズソングとして有名な "You’ll never walk alone"(君はひとりじゃない)やサイモン&ガーファンクルの"Bridge over troubled water"(明日に架ける橋)は、どんなに辛い時でも「共に在る」ことを相手に伝える代表曲だ。歌うことに、何も道具はいらない。ただ、そこに隣人が居ればいい。声を合わせて、共に歌おう。昨日は選手を勇気づけてくれた歌が、今日は多くの人たちの心の中に希望の灯りをともしてくれる。声を合わせれば、チカラをひとつにできる。 それを実践している若者がいた。ロンドン交響楽団のコミュニティ合唱団の指揮者ギャレス・マローンである。彼は、各地で地域の合唱団をつくり、歌のチカラで街をひとつに、元気と結束をとりもどす活動を続ける。

街を一つにまとめ、誇りや大切な目標を見つけるために、年代や職業に関係なく、街のみんなの合唱団をつくる。内から生きるエネルギーが湧き出してくるとともに、周りの人たちと希望や勇気を分かち合える。 大志塾の最優秀賞に選ばれた塾生が仙台市長を前に発表するはずの3月28日、消防庁職員である彼は、被災現場で懸命に任務に当っていた。幸せな人の営みをささやく、「街の灯り」がちらちらするあの日常を再び取り戻すために。