昨季の明治安田J1王者が中国の済南に乗り込んだ、山東泰山とのAFCチャンピオンズリーググループG第2節。9月29日のJ1第29節・神戸戦から中3日で迎えた横浜FMは、その神戸戦から先発6人を変更する。植中 朝日、吉尾 海夏、加藤 聖らフレッシュなメンバーが先発した。その一方でエウベル、山根 陸、角田 涼太朗らが神戸戦に続いてスタートのピッチに立った。対する山東泰山は、前節・カヤFC戦は不出場だった元ベルギー代表のマルアン フェライニを先発に組み込んだほか、ブラジル国籍のモイゼス、クリサンを先発のピッチに送り出した。
横浜FMがボールを持てば大ブーイングが浴びせられる、“完全アウェイ”の雰囲気の中で試合はスタート。序盤はその雰囲気に慣れない横浜FMにミスが目立つ。その一方で、圧倒的なホームのサポーターに背中を押された山東泰山は徹底的にマルアン フェライニとクリサンにボールを入れて起点を作り、サイドから際どいクロスをゴール前に入れて得点を狙う。10分あたりまではセカンドボールも回収し、ホームチームのペースで進む。
徐々に雰囲気に慣れ始めた横浜FMが反転攻勢に出ると、11分にはエウベル、植中と細かくつないでナム テヒがシュート。その後もうまく状況を見ながら、中に絞った水沼 宏太がアクセントを作りながらボールを前に運んでいく。すると、30分にビッグチャンス。中盤から水沼が浮き球のパスを送ると、ナム テヒがGKワン ダーレイと1対1に。ナム テヒが放ったシュートはワン ダーレイの脇をすり抜けてゴールに向かうが、あとわずかのところで相手DFの必死のクリアに遭う。
その後も横浜FMがうまくボールをつなぎながらフィニッシュに持っていく中、37分に待望の先制点が生まれる。エウベルがドリブルでペナルティーエリア内に切り込んで横パス。そこに飛び込んだ水沼が合わせてネットを揺らした。
後半、最初のチャンスをつかんだのは、ハーフタイムに1人を入れ替えた山東泰山。48分、対角のクロスから、胸トラップしたチェン プーがシュートを放つ。すると、その1分後には決定機。ゴール左手前45度の位置でボールを持ったクリサンがコントロールショット。しかし、これはポストを直撃する。
すると、その流れからカウンターを発動した横浜FMにビッグチャンス。素早く右に展開し、ナム テヒが送ったクロスを受けた植中がゴールに蹴り込む。しかし、このプレーにVARが介入し、直前にオフサイドがあったと判定されてゴールは認められない。
この判定で会場のボルテージが一気に上がると、ピッチ上のバトルも激しさを増していく。両者ともに交代カードを切って次の1点を狙いにいくが、決定打が出ないまま時計の針が進んでいく。その中で、山東泰山は87分にセットプレーからクリサンがシュートを放つが、またもポストに阻まれる。虎の子の1点を守り切った横浜FMがアウェイの地で今大会初勝利を挙げた。
[ 文:大林 洋平 ]
横浜F・マリノス
MF 18
水沼 宏太
率直に勝つことができて良かったと思います。試合前のリーグ戦(J1第29節・神戸戦)に負けてしまい、こちらに乗り込んできました。移動が大変だったり、準備期間が短い中、「自分たちの経験をすべてぶつけていこう」と監督にも言われていました。それを選手たちが実行できたことが何よりも良かったです。僕自身はACLに何度も出ていますし、中国での試合は4、5回目です。やっぱり難しい試合になると感じましたし、独特の雰囲気は率直にやりづらかったです。でも、それをはねのけ、自分たちのサッカーをやり続けることが大事な中、結果を残せて良かったです。 --決勝点のシーンを振り返ってください。エウベルとナム(テヒ)が左サイドで崩すと、感覚的に感じました。最後、自分が中に入っていくことができれば、絶対にボールが来ると思ったので、そこは冷静にワンツーを見ながらポジションを取れたと思います。「あのポジションに入れ」と監督から言われていましたし、チャンスになるとも思っていました。得点シーンに限らず、うまく冷静にポジションを取れました。
DF 33
角田 涼太朗
--元ベルギー代表のマルアン フェライニとマッチアップするシーンが多い中、クリーンシートを達成し、素晴らしいパフォーマンスでした。チームが勝てたことが一番です。完全アウェイの中、チームとしても個人としても勝ちながら経験を積めたことが大きかったです。もちろんマッチアップした選手は世界的に有名な選手です。ロシアW杯で日本代表を敗退に追い込んだ選手ですし、自分は昔から見ていました。その選手と真剣勝負ができるのは、マリノスに所属しているからこその経験です。サッカー選手として幸せな経験ができました。 --かなり手ごたえがあるのではないでしょうか。もっとやれると思います。(マルアン フェライニに)勝てなかったシーンもありました。自分が目指す場所はまだまだ上なので、あのような個の質の高い選手と対等にやらなければなりません。引いたら終わりだと思っていたので、「強気で行こう」と(上島)拓巳くんとも話していました。それを良い形で実行できたので良かったです。 --リーグ戦では右CBをこなし、頼もしさが増しています。どのポジションで出てもチームのためにやるだけです。今日は左で出場し、持ち味を多少は出せたと思います。でも、もっともっとアジャストできると思いますし、どのポジションで出ても一番高いパフォーマンスを出せるように頑張っていきます。
MF 7
エウベル
--アシストシーンを振り返ってください。すごく連係がとれた一連のプレーでした。僕が仕掛けつつ、中を見てナム(テヒ)が良いポジションを取っていましたが、(水沼)宏太も素晴らしいポジションを取っていました。うまく宏太にパスを出せて、得点につながって良かったです。 --完全アウェイの雰囲気の中、いつもどおりのパフォーマンスでした。慣れている部分はあります。ブラジルではもっと酷いかもしれません。そして、この勝点3が必要でした。ホームでもアウェイでもわれわれはとても質が高い。チームとして、いつもコンスタントに良いパフォーマンスが見せられています。勝点3を日本に持ち帰れてうれしく思います。 --ブラジル人の血が騒ぎましたか?相手がブラジルと似た雰囲気を作り、ブーイングや侮辱的な言葉もあって、少し思い出しました。この勝利は必要だったので、このアウェイの雰囲気で勝てたことは良かったですね。