12日夜の関西国際空港。およそ60名がチャーター機に乗り込み、ファイナルズが開催されるサウジアラビアのジッダへ飛んだ。直近の公式戦だった11日の明治安田J1百年構想WESTグループ地域リーグラウンド第10節・名古屋戦で負傷したGK前川 黛也やマテウス トゥーレルら一部の選手は姿を見せなかったが、同試合で負傷交代した扇原 貴宏や、負傷欠場が続いていた広瀬 陸斗、小松 蓮らは搭乗。思いを1つに決戦の地に入っている。
アジア制覇への気持ちは、選手それぞれが強く胸に宿している。過去三度、アジアの舞台で涙を呑んできた神戸だが、昨夏に加入した永戸 勝也も思いは同じだ。「一昨年にACLの決勝に行き、昨年もサウジへ行きました」と、横浜FM在籍時に挑んだ記憶を振り返る。そして、「チャンスを求めてここ(神戸)に来たところもある」と続け、自らとチームとしての思いを重ね合わせた。
「去年、一昨年と僕は悔しい思いをしていますし、このチームもアジアの大会で悔しい思いをしてきました。目指すところは同じ。チームの一員として、まずは初戦にしっかり勝てるように頑張りたい」 日本とは異なる気候に「早く慣れないといけない」と指摘し、「昨年はサウジのチーム(アル・ナスル)が相手でしたけど、ちょっと良いプレーがあっただけで相手がノッてくるのが分かる」と“アウェイ・中東”の難しさに触れる背番号41。だからこそ、「それを力に変えてやるべき」とメンタリティーを強く保ち、チーム一丸となって強さを発揮することの大切さを強調している。
その神戸に立ちはだかるのは、西地区のリーグステージ首位だったサウジアラビアのアル・ヒラルを破ったカタールのアル・サッドだ。同ステージ8位からの“下克上”を果たした格好だが、そもそもアル・サッドはアジア有数の強豪クラブ。それは所属する選手を見れば一目瞭然だ。
アル・アハリ・サウジ(サウジアラビア)に所属していた前回大会で優勝し、MVPを獲得した元ブラジル代表のロベルト フィルミーノが9番を背負うほか、ザルツブルク(オーストリア)やASモナコ(フランス)で南野 拓実とチームメートだった身体能力抜群のマリ代表・モハメド カマラ、2022年のカタールワールドカップでモロッコ代表の軸としてプレーし、アフリカ勢初のベスト4進出に貢献したCBロマン サイス、直近のアジアカップを2大会連続で制しているカタール代表のGKマシャアル バルシャムやアクラム アフィーフなど、個のタレントは豊富だ。アル・ヒラル戦は延長戦にもつれ込む死闘だったが、1人の選手交代も行わなかったことも印象的だった。チームを率いる歴戦のイタリア国籍指揮官・ロベルト マンチーニ氏の策には大いに警戒しなければならない。
11日の名古屋戦は逆転勝ちだった神戸。ビハインドの状況からPKを獲得し、自ら決めた佐々木 大樹は「相手は本当に強豪ではあると思う。ただ、(得点を)入れられても逆転する、今年のヴィッセルはそういう戦い方もできている」と胸を張る。深紅には、全員で守り、全員で攻めるという、大切にしてきた『一致団結』の精神がある。粘り強く、勇敢に。思う存分、神戸らしさをぶつけたい。
[ 文:小野 慶太 ]