アル・サッド(カタール)との準々決勝は死闘と呼ぶにふさわしい試合だった。開始わずか6分にカウンターからゴールを奪われたが、酒井 高徳のピンポイントクロスと大迫 勇也の決定力が交わった見事な同点ゴールを挙げ、流れをつかんでいくかに見えた。ところが、後半、連続失点で2点差をつけられるという窮地に陥っている。
主将の山川 哲史は「相手の前線の能力の高い選手たちに個人で負けてしまって、失点してしまって、だいぶ難しい試合にしてしまった」と、警戒していた前線の“個の力”に苦しめられた試合を率直に振り返る。
ただ、神戸の真骨頂はむしろ、ここからだった。追いかける展開の中で、落ち着いてボールを動かし、ボールを失っても力強く奪い返し、得点を狙い続けた。山川 哲史も気迫の守備でピンチを切り抜ける。74分の井手口 陽介の反撃の一撃も、90+3分に広瀬 陸斗、武藤 嘉紀とつないで挙げた劇的な同点ゴールも、最後まであきらめない神戸らしさが導いたものだ。延長戦では何度も大ピンチを招いたが、GK前川 黛也が圧巻のビッグセーブを連発。もつれ込んだPK戦は5人全員が成功。歓喜の勝どきを上げている。
先発した11人も、途中出場の6人も、ベンチで待機したメンバーも、ベンチ外の選手たちも、それぞれが自らの居場所でやるべきことをやった。思うようにいかなくても、ハードワークという大原則を誰一人、最後までやめなかった。目の前のプレーへのこだわり、ついえぬ執念。その背景にあるものに、武藤 嘉紀は感謝を込めて言葉を寄せた。
「多くのファンもサウジアラビアに来てくれて、テレビの向こうでも、時差があっても応援してくださっている。そういう方々のためにも、今日大きな勝利を成し遂げることができてうれしく思う」 チームとサポーターが一丸で遂げた8強突破。この流れをさらに強固なものとするのみだが、初の決勝進出へは大きな関門が立ちはだかる。準決勝の相手は、アル・アハリ・サウジ。ファイナルズが開催されているジッダを本拠地とするクラブであり、前回のACLEを制覇したアジア有数の強豪だ。イングランド代表歴を持ち、サウジアラビアの国内リーグで27得点を挙げるイヴァン トニー、マンチェスター・シティ(イングランド)などでも活躍したアルジェリア代表のリヤド マフレズ、コートジボワール代表のフランク ケシエなど、居並ぶメンバーは豪華絢爛。ジョホール(マレーシア)との準々決勝は、0-1とビハインドの状況で1人退場者を出す苦しい展開だったが、2-1で逆転勝ちを収めた。ホームの優位性は圧倒的だ。
神戸とすれば、ゲームタイムのすべてで高い集中を保てるかはマストポイント。アル・サッド戦同様の厳しい戦いが予想される中、苦しい時間帯にどれだけ声をかけ合い、チャレンジ&カバーを徹底し、チームとして戦い抜けるか。育んできた『一致団結』の精神を前面に、クラブ未踏の決勝に進みたい。
[ 文:小野 慶太 ]