UAEのアル・アハリと対戦した準決勝は、ケガから復帰した相馬 勇紀が“一発回答”の先制点を奪取。相手のミスを突く狡猾なボール奪取から決めた虎の子の1点を、チーム全体で守り切った末の決勝進出だった。
決勝点を挙げた相馬 勇紀はさすがの“千両役者”ぶりを発揮。決勝進出につながるゴールは、日本人エースの称号にふさわしかった。サウジアラビア開催のファイナルズに臨む前、相馬 勇紀が「対戦するチームを倒さなければ優勝できないので、そのための準備をしていきたい」とシンプルに話していたように、アジア制覇への“第二関門”を突破した。
町田のACLE初制覇に向けて、最後に立ちはだかる相手は、ディフェンディングチャンピオンであるサウジアラビアのアル・アハリ・サウジ。前回大会の決勝では川崎Fが、また今大会の準決勝で神戸が同チームに屈したように、サウジアラビアのメガクラブはJリーグ勢にとって、ある種の“ラスボス”だ。
それでも、町田にも勝機は十分ある。準決勝で敗れた神戸が、アル・アハリ・サウジ撃破に向けたヒントを授けてくれたとも言える。
神戸が前半に決めた先制点は、FKの展開から。綿密に組み立てられたセットプレーからゴールを陥れる形は、町田も得意とする得点パターンであるため、決勝でもその強みを発揮したい。
もう1つのヒントが、相手に押し込まれ続ける展開が想定される中で、いかに打開策を見いだしていくか。神戸は無念にも守備ではね返し切れず、後半の2失点で逆転負けを喫したが、似たような展開になれば、いまの町田の耐久力をもってしても守り切ることは難しい。ゴール前では確実に相手の攻撃をはね返し、いかにして相手陣地でのプレー機会を増やしていくか。有効な打開策を提示できれば、グッと勝機は近づく。その点、町田は明治安田J1百年構想リーグの中で、“押し返す”アプローチを突き詰めてきたため、その成果がACLE決勝では問われるに違いない。「攻撃しながら完結する守備」(中山 雄太)で守備機会自体を減らすことも重要。前回王者が相手でも、過度に恐れる必要はない。
また、神戸との準決勝で同点ゴールを挙げたガレーノの強烈なシュートには警戒が必要。より注意深い対応が求められる。シュートブロックに一家言をもつ黒田 剛監督の指導が染みついている“シュートブロック力”が、優れたシューター相手にも通用するかどうかにも注目だ。
泣いても、笑っても、町田のACLE初挑戦はあと1試合で終わりを告げる。準決勝の前日、公式会見で黒田 剛監督が語った「頂点を獲りにここにきた」という言葉を有言実行に変えるための“最終決戦”が、いよいよ幕を開ける。
[ 文:郡司 聡 ]