長野は天皇杯長野県予選決勝で松本と対戦し、PK戦の末に勝利。2008年の北信越リーグ1部最終節以来、15年ぶりとなる“信州ダービー”での白星を手にした。翌週には明治安田J3第10節で再び松本と対戦し、2-1と連勝。スコアこそ僅差だったが、内容では攻守ともに圧倒し続けた。
リーグ戦では首位につけているが、その要因として“堅守”と“セットプレー”が挙げられる。リーグ前節・松本戦はあらゆる球際の強度で上回り、「記憶にある(相手の)チャンスはない」とシュタルフ 悠紀監督。前半に得意のセットプレーから先制し、後半も相手にチャンスを与えないまま、カウンターで追加点を奪取。終盤にミスからの失点こそあったが、最後まで集中が途切れることはなかった。
開幕前に負傷した近藤 貴司と森川 裕基の復調も好材料だ。2点目は森川がカウンターから2人をかわし、杉井 颯のクロスに対して近藤がニアへ走って相手を引き寄せ、山本 大貴が押し込む形。両者ともゴールに直結する仕事ができる選手で、その存在価値を証明している。
彼らの復帰によって、競争が一層激化した。昨季のチーム得点王である山本や、ここまでMVP級の活躍を見せてきた西村 恭史でさえ、先発が確約されていない状況。昨季大卒1年目ながら6得点を挙げた山中 麗央がメンバー外であることも、スカッドの厚さを示している。指揮官は「1.5列目の層はリーグトップレベル。特徴が違う選手もいる」と、特に中盤のポジション争いに充実感を得ている。
今試合で気になるのは人選だ。前後に1週間の間隔があり、疲労を考慮してのローテーションは必須ではない。それでも「数字を残したい」と意気込む山中をはじめ、多くの選手が出場機会に飢えている。彼らが出場機会をもぎ取るのか、現状のベストメンバーで臨むのか。指揮官の采配に注目が集まる。
対するAS.Laranja Kyotoは、天皇杯本戦初出場となる。京都府予選決勝では同志社大をPK戦の末に撃破。関西サッカーリーグ2部に所属しており、現在公式戦6連勝(PK戦勝利含む)と好調だ。関西サッカーリーグ2部の首位として、満を持してJ3首位の長野に挑む。
この試合の勝者は、現在J1で首位を走る神戸への挑戦権を得る。杉井は「J1の首位チームとやれるのは、サッカー選手としてこれ以上ない幸せ。天皇杯はそんな簡単にいかないと分かっているので、気を引き締めてやりたい」と意気込んだ。長野は神戸と2015年の天皇杯2回戦で対戦しており、その再現となるだろうか。
長野とAS.Laranja Kyoto。互いにオレンジをクラブカラーとしており、今回は“オレンジダービー”とも言える。好調なチーム同士の対決ということもあり、白熱した戦いが見られるだろう。
[ 文:田中 紘夢 ]
