
いよいよ第106回天皇杯が開幕する。岐阜メモリアルセンターヒマラヤスタジアム岐阜で行われる1回戦は、岐阜県代表の岐阜と富山県代表の富山新庄クラブが対戦。前回大会の1回戦と同じカードとなった。
J3に所属する岐阜の天皇杯での最高成績は2009年度大会のベスト8。今大会は岐阜県予選決勝でFC.Bomboneraを11-0で下し、本戦出場権を獲得した。この試合は明治安田J2・J3百年構想リーグ終了後、チームにとって初の公式戦でもあった。その中で新戦力のFW閑田 隼人が4得点、トップ下に入った大串 昇平が2得点など、得点を期待される選手たちが躍動。その勢いはJ3にもつながり、開幕から2連勝、ここまで10得点と最高のスタートを切っている。
ただ、この蒸し暑さの中で90分戦う負荷は大きく、加えてこの1回戦は中3日の連戦だ。石丸 清隆監督はJ3開幕戦後、「選手たちの疲労度が予想以上だった」と語っており、この試合はターンオーバーが必須だろう。だからこそ控え組の選手たちにとって絶好のチャンス。勝利を目指しながら自分の価値を証明する戦いでもある。
その中で注目したいのが、今季J1の名古屋から加入した鈴木 陽人だ。ここまでのリーグ戦2試合はともに途中出場ながら鋭いドリブル突破で存在感を示し、スタジアムを沸かせる場面は作っている。ただ、まだゴールという結果は残せていない。名古屋では出場機会が限られていただけに、目に見える結果を残すことで本来の試合感覚、そして得点感覚を取り戻したい。

J3開幕戦からリーグ戦2試合連続で途中出場の鈴木陽人。天皇杯で結果を残せるか
もう1人の注目選手は、背番号10の北 龍磨。ケガで出遅れた司令塔は直近のJ3第2節・高知戦で65分から今季初出場を果たし、鋭いパスでジョルダン テルの2ゴールを演出した。攻撃を活性化させるゴールに向かう姿勢は、攻撃的なスタイルを掲げるチームと好相性。リーグ戦での先発争いへ食い込むためにも、天皇杯で存在感を示したい。

北龍磨(写真中央)はここから序列を上げていけるか
対する富山新庄クラブは北信越リーグ1部で現在2位。9試合で27得点4失点と攻守ともに安定した戦いを見せている。天皇杯富山県予選決勝・エヌスタイル戦では前半に4得点を奪い、一気に試合を決めた。
中心は背番号10の飯島 翼となる。JFLの沖縄SVでのプレー経験を持つ司令塔は、優れた攻撃のセンスと切り替えの早さが武器。県予選決勝でも2ゴールを奪っており、岐阜としても警戒が必要だ。
また、チームを率いる朝日 大輔監督は、長く富山で活躍した選手。ボールを保持しながら主導権を握る攻撃的なサッカーを志向しており、格上相手にも積極的に挑んでくるだろう。
両チームは前回大会でも対戦し、岐阜が3-1で勝利した。しかし、富山新庄クラブにとっては大きな経験となった一戦でもあった。朝日 大輔監督は試合後、「本物とやれたことが選手たちの財産になった」と振り返った。それから1年あまり。富山新庄クラブとしては、どれだけ成長したのかを示す舞台にもなる。
開幕から好スタートを切った岐阜が勢いを継続するのか。それとも成長した富山新庄クラブがジャイアントキリングを起こすのか。昨年の再戦となる一戦は、チーム力だけでなく選手層の厚さも試される。
[ 文:斎藤 孝一 ]