
Jリーグが夏開幕になったことで、天皇杯もリーグ戦と同じく8月からの開催というスケジュールとなった。
白波スタジアムで行われる1回戦のこのカードは、鹿児島県代表の鹿児島と、山口県代表の山口による対戦だ。これまでJFLやJ2などの舞台で戦いを繰り広げてきた両者は、これで通算九度目の対決。“薩長ダービー”の様相を呈する、ライバル同士のぶつかり合いが楽しみな一戦となっている。
鹿児島は県予選決勝で、鹿屋体育大を1-0で退け、鹿児島県代表の座をつかんだ。県予選や直近のリーグ戦の戦いぶりを見ても、確実に勝利を積み重ねており、調子を上げている。持ち前の攻守において前を目指す縦に速いサッカーが、新加入選手を含めた全員に浸透している様子がうかがえ、結果を残すことでよりチームにも勢いがついている格好だ。
それを支えているのが、前の選手たちから積極的にボールへプレスを掛けにいく守備だ。前から相手の攻撃を限定していくことで、後ろの選手たちは守備の予測がしやすくなり、高い位置でボールを奪うことが可能になる。
加えて、仮に打開されたとしても、広瀬 健太ら対人の守備に強みを持つ最終ラインが、最後のところでボールを奪い切る頼もしさを見せている。
村主 博正監督が「いつどういう状況に置かれても、そこでのベストを尽くしてくれる選手」と評価するベテランCBが、得意とするロングフィードで攻撃の起点になる形にも注目したい。

鹿児島のディフェンスラインを統率する広瀬健太
一方の山口は、県予選決勝でFCバレイン下関を6-1で下すという圧倒的な強さを見せ、山口県代表の座をつかんだ。直近のリーグ戦は1勝1敗としているが、いずれの試合においても、どこからでもシュートを狙う怖さを見せている。
前線からのプレスが強いチームに対して、小田切 道治監督が「相手のプレスをどうはがし、どうひっくり返すか。ピッチ上のどこが空いているのかを判断しなくてはいけない」と語るように、連係面のさらなる向上がこのチームをさらに怖い存在にしていくだろう。
積極的にシュートを放つ姿勢に加えて、輪笠 祐士を司令塔とした連係面がより醸成され、崩しの局面を作り出す力が増していくことで、1本のシュートがより強い脅威となって鹿児島ゴールに迫っていくはずだ。

山口の攻撃のタクトを振る輪笠祐士
また、輪笠 祐士に対して「プレーの参考にしていた」と語るのは、鹿児島の吉尾 虹樹だ。彼にとって輪笠 祐士は、岡山での元チームメートでもある。同じボランチというポジションで、それぞれのチームで攻撃のタクトを握る2人の対決も注目ポイントだ。
2回戦に進むのは、アクティブかつ堅い守備から縦に速い展開を作りたい鹿児島か、連係の底上げをプラスしつつ数多くのシュートで鹿児島ゴールに迫ろうとする山口か。まだまだ暑さの残る白波スタで、さらに熱い両者のフットボールが激突する。
[ 文:濱田 英作 ]