未曽有の大震災に見舞われた2011年。Ｊリーグも、リーグ序盤戦が中止となるなど大きな影響を受けた。順延となった2節から6節までが後ろ倒しになったことでハードなスケジュールを強いられたが、その厳しい状況のなかで力を発揮したのは、Ｊ２から昇格してきたばかりの柏だった。前年のＪ２で圧倒的な強さを示した勢いを持ちこみ、開幕から快進撃を続けるのだ。
開幕3連勝でいきなり首位に立つと、9節（4試合目）に初黒星を喫したものの、その後の5試合で4勝1分と再加速し、スタートダッシュに成功した。
躍進の立役者となったのはレアンドロ ドミンゲスとジョルジ ワグネルのブラジル国籍コンビだ。高い技術を備えた前者と、パワフルな左足も持つ後者が攻撃陣を牽引し、田中 順也と北嶋 秀朗の２トップもコンスタントに得点を記録。工藤 壮人、酒井 宏樹らアカデミー出身の若手も台頭し、アグレッシブな戦いを展開した。とりわけレアンドロ ドミンゲスと酒井が形成する右サイドからの攻撃は、対戦相手の大きな脅威となった。
もっともスケジュールが混みだした夏場以降にやや苦しみ、首位から陥落。21節の磐田戦では1-6の大敗も喫している。それでも3年目を迎えたネルシーニョ監督の下で、「VITORIA（ヴィトーリア）＝勝利」の精神を培われた太陽の戦士たちは、ここからたくましい戦いを披露するのだ。
24節からの3連勝で息を吹き返すと、29節に山形を下して、首位に再浮上。最終盤はＧ大阪、名古屋とハイレベルな優勝レースを繰り広げたが、勝てば優勝が決まる最終節の浦和戦でも3-1と確実に勝利を収め、そのまま逃げ切りを果たした。
柏にとってはこれが、初のリーグ優勝。昇格1年目のチームが優勝するのも、史上初のケースだった。
今年も柏は、昇格チームとしてＪ１の舞台に挑んでいる。開幕戦では札幌に快勝を収め、好スタートを切った。当時と同じネルシーニョ監督に率いられたチームが、再び同じ奇跡を起こしたとしても不思議はない。
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