
Jリーグは、未来の子どもたちが安全にスポーツを楽しむことのできる地球環境を目指し、気候変動の問題解決のためのアクション(以下、気候アクション)を推進しています。その一環として、Jリーグはスポーツを通じた環境サステナビリティの取り組みを数値化し、その進捗や目指すべき方向性をわかりやすく把握できる仕組みとして、国際的なイニシアチブ「Sport Positive League (スポーツポジティブリーグ、略称SPL) 」への参画を決定しました。
SPLは、サッカークラブの気候アクションを数値化し、その進捗や目指すべき方向性を一目で把握できる仕組みです。2025年現在、イングランドプレミアリーグをはじめ、欧州の4つのプロサッカーリーグが参画しており、Jリーグは5番目、アジアでは初の参画となります。
またSPLの参画に先立ち、気候アクションに関する取り組みの推進を図る目的で、「Jリーグサステナビリティ事業活動助成金制度」を新たに創設しました。さらに、SPLの参画を推進する「Jリーグサステナビリティ事業活性化プロジェクト」を発足し、本日の理事会で報告しましたので併せてお知らせします。
Sport Positive Leagueの表示例

出典:Sports Positive League, “Premier League 2022”。SPL公式サイト(登録制)にて各リーグの統括レポートや各クラブの具体的な取り組みを紹介
1.JリーグのSport Positive Leagueへの参画
日本のスポーツ界でも、様々な気候アクションが始まっていますが、その意義と可能性は、まだ十分に評価されていないと考えています。気候アクションは、環境負荷を低減させるだけではなく、「気候変動の緩和」という社会全体の大きな目標に向けて、Jクラブには、その影響力を活かした独自の貢献が期待されています。
Jリーグは全60クラブとともにSPLに参画します。単に気候アクションに関するスコアや順位を競うだけでなく、ファン・サポーター、メディア、ホームタウン、企業、自治体等のクラブを取り巻く関係者にとって、スポーツクラブの環境への貢献状況や、地域特有の環境課題に関する客観的な情報にアクセスしやすくなる他、世界のスポーツリーグと比較した際のJリーグの現在地を確認しながら、気候アクションを進捗することができます。
さらに、環境負荷を減らすための具体的なアイデアや改善策などを、世界の様々な先進クラブから学び生かせるプラットフォームとしての役割も期待されます。この仕組みによって、地域資源を活かしながら、脱炭素に向けた活動が広がり、自然環境の保全や再生を推進する地域のハブとして、Jクラブが地域からより信頼される存在になることを目指します。
【参画の概要と主なスケジュール】
⚫︎2025年はSPLへの参画の準備期間と位置づけ、2026年移行期の特別大会より正式にエントリーします。
⚫︎2025年の準備期間では、SPLとJリーグ間のヒアリングを経て、気候変動対策にとって重要な12項目に関する
SPL策定のマトリクスをベースとしつつ、Jリーグ独自の評価基準を設定します。併行してJクラブはJリーグが作成するハンドブックを参照しつつ、SPLの仕組みや、評価基準、気候変動対策にとって重要な12項目や活動の進め方について理解を深めます。
⚫︎手引書となる「Jリーグ気候アクションハンドブック」は2025年6月頃を目途に発行し、一般にも公開予定です。
⚫︎第1回のエントリーは、2026年の移行期の特別大会までの期間を対象に、Jクラブが取り組む気候アクションがSPLへ報告され、2026年秋を目途に、SPLより初回となる評価基準に基づくスコアと順位が初めて提示されます。
⚫︎スコアと順位が提示される2026年秋以降は、ランキング上位のクラブがより多くの配分を得られる活動助成金(正式名称 Jリーグサステナビリティ事業活動助成金)の傾斜配分を導入します。
⚫︎SPLのスコア・ランキングが出る2026年秋までの活動については、Jリーグサステナビリティ事業活動助成金を均等配分で交付します。
【 Sport Positive Leagueとは】
Sport Positive Leagueは、クラブの気候アクションを数値化し、その進捗や目指すべき方向性を一目で把握できる仕組みです。参画リーグの所属クラブを対象に、気候変動対策にとって重要な12項目の取り組み状況について、スポーツ界特有の環境パフォーマンス、例えば、試合会場や施設のエネルギー効率、再生可能エネルギーの利用、リサイクルや廃棄物削減の取り組み、ファンや選手の移動に伴うCO2排出量の管理、ホームタウンとの連携や選手等への環境教育の推進などの多岐にわたる活動の効果をデータとして収集します。
その後、SPL独自のスコアリングシステムで定量的に効果分析が行われ、エネルギー、廃棄物、交通など、カテゴリーテーマ別に加重を設けて総合点を算出。スポーツファンに馴染みのある順位表形式でSPLからリーグごとにスコアが出され、参画するクラブが横断的に紹介されます。データ駆動型のアプローチにより、環境への取り組みが可視化され、スコアを公表することで最善策の共有を促進し、より高い目標を追求する動機付けが仕組みとして備えられている点が特徴です。
【スポーツポジティブリーグ概要】

2.Jリーグサステナビリティ事業活動助成金制度の創設 (2025年4月~)
SPLの導入に先立ち、気候アクションに関する取り組みの推進を図る目的で、Jリーグサステナビリティ事業活動助成金制度を創設しました。本制度は年度ごとに配布され、第1回は2025年4月1日から2026年3月15日までに実施する活動が助成対象となり、2026年のSPL参画後はSPLの活動助成金として運用されます。

3.Jリーグサステナビリティ事業活性化プロジェクトの発足(2025年4月~)
SPLの参画にあわせ、Jリーグは「サステナビリティ事業活性化プロジェクト」の発足を本日の理事会で報告しました。Jリーグは気候アクションロードマップにおいて、2030年までにJリーグ全体で排出するCO2を 50%削減する(注1)ことを掲げ、カーボンニュートラルな地域社会の実現に取り組んでいます。
本プロジェクトはこれまでにJリーグやJクラブが個々に実施していた気候アクションを、リーグ全体でより高い効果をもたらすアクションへ変質させることを目指し、プロジェクトの中でSPL導入を含む9つの関連施策を並行して実施してまいります。
SPLの導入を含むプロジェクトの原資として、先日発表した明治安田Jリーグワールドチャレンジ2025 presented by日本財団のチャリティパートナーでもある、公益財団法人 日本財団の新たな助成制度を活用します。またプロジェクトの進捗は、Jリーグ気候アクションサイトの他、Jリーグのサステナビリティ領域に関する活動レポート(仮称)を発行し、定期的に公表予定です。SPLの参画、そしてJリーグサステナビリティ事業活性化プロジェクトを通じ、Jリーグ・Jクラブのネットワークを生かした統合的なアクションとしてサステナビリティ事業を一層推進してまいります。
(注1)CO2排出量初年度対比、2026年より法人全体の事業活動に関してScope1,2,3を算定予定
【Jリーグサステナビリティ事業活性化プロジェクの概要と8つの重点施策】
概要

8つの重点施策
