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2015年10月28日(水) 14:01

【ヤマザキナビスコカップ決勝】ファイナルを楽しむ5つのポイント(3)注目マッチアップ:マエストロ対決の「表と裏」

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【ヤマザキナビスコカップ決勝】ファイナルを楽しむ5つのポイント(3)注目マッチアップ:マエストロ対決の「表と裏」
偉大なマエストロのせめぎ合いを抜きに、今回のファイナルは語れない

決戦の進路は、二つのコンパス(羅針盤)が教えてくれる。東(鹿島アントラーズ)の小笠原 満男と西(ガンバ大阪)の遠藤 保仁だ。前者が36歳、後者が35歳。酸いも甘いも噛み分ける偉大なマエストロのせめぎ合いを抜きに、今回のファイナルは語れない。互いに「司令塔」というくくり方をされる点では同じだが、小笠原は最終ラインをプロテクトする「第一ボランチ」の、遠藤はアタック陣をフォローする「第2ボランチ」の色彩が強く、文字どおりのマッチアップが生じやすい。

かわされるリスクの高い敵の司令塔でも、臆せず狩りにいくのが小笠原流
かわされるリスクの高い敵の司令塔でも、臆せず狩りにいくのが小笠原流

最も分かりやすい構図は守の小笠原、攻の遠藤。もっと言えば「狩る小笠原」と「配る遠藤」だろうか。食うか、食われるか。プレスをかわされるリスクの高い敵の司令塔でも、臆せず狩りにいくのが小笠原流だ。一方の遠藤は盛んに敵のガードが手薄なワイドオープンに流れ、そこから危険なパスを狙うポジショニングの妙が光る。そこを、追うのか否か。両者の駆け引きが面白い。

もっとも、最大の見ものは攻の小笠原、守の遠藤という「主客転倒」にありそうだ。実のところ、守備の局面における遠藤の肉食化が著しい。ビッグマッチになると、攻から守への高速転換はもとより、球際の激しさが目に付く。小笠原が攻撃へ転じた直後にひと息つけば「逆狩り」の危険が待っているわけだ。手のうちを知り尽くす者同士の争いだからこそ、意外なシナリオに勝機があるかもしれない。一発勝負のファイナルならではの醍醐味だろう。

遠藤はワイドオープンに流れ、危険なパスを狙うポジショニングの妙が光る
遠藤はワイドオープンに流れ、危険なパスを狙うポジショニングの妙が光る

小笠原と遠藤という『黄金世代』の直接対決と並び、柴崎 岳(鹿島)と宇佐美 貴史(G大阪)という『プラチナ世代』のアイコンも同じピッチに立つ。もっとも、こちらは直接、刃を交える関係にはない。宇佐美の起用には2トップの一角、または左のワイドという2つの選択肢があり、文字どおりのマッチアップは流動的だ。強いて言うなら『宇佐美対鹿島ディフェンス』だろう。その点、鹿島の第二ボランチを担う柴崎には、避けて通れぬ刺客が待っている。

宇佐美(右)は鹿島ディフェンス陣と、柴崎(左)には今野とのマッチアップが待っている
宇佐美(右)は鹿島ディフェンス陣と、柴崎(左)には今野とのマッチアップが待っている

マッチアップする相手はボールハントの専門家である今野 泰幸だ。柴崎はワンタッチで球をさばく技術とセンスに加え、神出鬼没のダイナミズムが光る。ハンター今野の射程圏内から逃れる術を持っているが、問題はG大阪に引かれた局面だろう。狭い守備ブロック内に潜り込んで球を引き出す際、今野に捕まらずに前を向けるかどうか。捕まれば、敵の速攻をまともに浴びることになる。

百戦錬磨のベテラン(今野)は、虎視眈々とその時を待っているはずだ。柴崎の技術と機動力が勝るか、今野の経験と圧力が勝るか――。小笠原対遠藤のマエストロ対決とは違い、対照的なカラーを持つ両者の争いは、ボランチというポジションの奥深さ、多様性を物語る意味でも興味深い。両軍の心臓とも言うべきドイスボランチの攻防から、ファイナルの結末が見えてくるのではないか。

[文:北條 聡]

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