横浜FMの第103回天皇杯は、ニッパツ三ツ沢球技場で行われるJFL所属の千葉県代表・ブリオベッカ浦安との一戦で幕を開ける。近年の横浜FMは、昨季の明治安田J1を制すなどリーグ戦では安定的な力を見せているが、日本最古のトーナメントの成績は振るわない。初戦となる2回戦を突破し、10大会ぶりの天皇杯獲得へ順調な滑り出しを見せるのか。それとも、ブリオベッカ浦安がジャイアントキリングを実現させるのか。焦点はそこに尽きる。
横浜FMは約半数の試合を消化した今季のJ1でも2位につけて好調。3日のJ1第16節・FC東京戦ではシーソーゲームを制す鮮やかな逆転劇で今季初のリーグ戦3連勝を飾った。JリーグYBCルヴァンカップでもグループステージ突破を早々に決めており、安定的な強さを誇る。名実ともにJ1王者と言えるチームに仕上がっている。
ただ、一発勝負の天皇杯に目を向けると、コロナ禍以降の2021、22年は結果を残せていない。2021年は初戦の2回戦でJFLのHonda FCに競り負け、2022年も3回戦でカテゴリーが1つ下の栃木に敗れて敗退。年間を通して総合力が問われるリーグ戦と比べ、力を出し切れていない印象だ。トーナメントの戦いについて、ケヴィン マスカット監督はこう語る。
「相手がどのリーグ、どの順位でも、自分たちの心にスキがあれば、良いパフォーマンスにはならない。自分たちの基準をどれだけ上げて臨めるか。最も大事なのはメンタルと臨む姿勢だ」 相手は3つ下のカテゴリーなだけに、自分たちの力を出すことに注力するスタンスで挑んでくる可能性が高い。先制点が大事になるのはもちろん、早めに追加点を奪って相手の心をくじくことが勝利への近道となる。中2日でリーグ戦を控えている日程のため、FC東京戦からのターンオーバーが濃厚。リーグ戦の出場機会が少ない選手たちの奮起が期待される。
対するブリオベッカ浦安は、2年連続六度目の出場。千葉県予選決勝では、延長戦の末に順天堂大を2-1で撃破。1回戦では昨年に続いて茨城県代表・筑波大と対戦し、二度追いつかれる苦しい展開ながら、終盤に林 容平が決勝点を奪って3-2で競り勝ち、2回戦にコマを進めた。
一方、今季再昇格したJFLでは苦戦している。開幕から9戦未勝利と最下位に沈む中、迎えた4日のJFL第10節・ソニー仙台FC戦。序盤に先制すると、一時同点に追いつかれたものの、前半アディショナルタイムと後半途中に加点して突き放す。相手の反撃をその後の1点に抑え、待望の今季リーグ戦初勝利を手にした。
その意味では、状態は上向きと言えるだろう。とはいえ、挑むのはJ1王者。その上、国内最上位カテゴリーの中でも屈指の攻撃力とボール保持率を誇る相手だけに、耐える時間帯は長くなるのが当然の見方か。打ち合いは分が悪いだけに、可能な限り失点しない時間帯を長くした上で、数少ないチャンスで決定力を発揮できるかがジャイアントキリングへの第一歩になる。都並 敏史監督が口にする「雑草魂」を大舞台で大いに発揮したいところである。
[ 文:大林 洋平 ]