第103回を迎える天皇杯、2回戦からJ1チームが登場する。
パロマ瑞穂ラグビー場で行われるのは、明治安田J1で3位の名古屋と、三重県代表でJFL・9位のヴィアティン三重の対戦。隣県のチーム同士だが、公式戦では初めての対戦となる。
「天皇杯は歴史のある大会。勝てば(優勝すれば)ACLに出場できるし(※2024-25シーズンのAFCチャンピオンズリーグ出場枠については未決定)、ノックアウトで何があるか分からない大会なので、この試合(2回戦)で勝つために全力を出してもらいたいと思います」と、選手たちに勝負へのこだわりを求めたのは名古屋の長谷川 健太監督。
Jリーグ勢にとってリーグ戦の合間に行われ、なおかつ下のカテゴリーと戦う天皇杯の初戦は、若手やリーグ戦での出場時間が短い選手を起用しがちだが、このタイトルを勝ち獲るためにも、ジャイアントキリングの餌食にならないためにも、一定数の主力を準備させ、万全の構えで臨む公算が高い。
しかしその一方で、「(リーグ戦で)途中出場の選手が得点を取れていないので、そのあたりは競争をさせたい」と、指揮官はチームの底上げも狙っている。
そこで注目したいのは、ここでしっかりと結果を出しておきたいFW陣だ。筆頭は高校生ながらプロ契約を締結している貴田 遼河。JリーグYBCルヴァンカップCグループ第4節・横浜FC戦では痛烈な2ゴールを挙げ、リーグ戦のベンチ入りをつかみ取ってはいるが、リーグ戦では出場時間が極めて短い。それを伸ばすためにも、ゴールという結果とともに、前線からの守備でもチームに貢献できるところを見せてアピールしたい。
その貴田の競争相手が酒井 宣福。ルヴァンカップでは大会トップの4ゴールを挙げているものの、リーグ戦では精彩を欠いている。スタメンの座を狙うためにも結果が必要だ。
名古屋に挑む形となるヴィアティン三重は、2012年に生まれた総合型スポーツクラブ。バレーボールやバスケットボールチームなども持ち、サッカーでは三重県初のJリーグ加盟を目指している。
上記のように現在はJFLで9位だが、上位との勝点差はわずかで、得点数の多さはリーグトップタイ。失点数の少なさも同2位タイで、中位に位置しているのが不思議なほど。つまり、ツボにハマれば強力な得点力がある侮れないチームだ。
1回戦はJ3の鳥取と対戦。前半アディショナルタイムに川中 健太が直接FKを決めて先制すると、集中した守備で相手の攻撃をしのぎ、84分にクロスバーに当たったシュートのこぼれ球から安西 海斗がボレーで決めて追加点。最後は守備の切り札を入れ、きっちりとクリーンシートで2回戦に進んできた。
指揮官は三重県出身で、現役時代は日産自動車(現・横浜FM)でプレーした樋口 靖洋監督。1985年に指導者になり、横浜FMを率いた2013年にはJ1で2位。天皇杯ではチームを優勝に導いた。この経験豊富な監督がチームをどうまとめ、J1チームに挑むのかに注目が集まる。
また、ヴィアティン三重はサポーターが多く、それが1回戦勝利の大きな後押しとなった。週末の昼間に行われた1回戦と異なり、2回戦は平日のナイターだが、比較的近い名古屋での試合で、多くの来場が見込める。クラブの総力を結集し、歴史あるJ1チーム相手にアップセットを狙いたい。
[ 文:斎藤 孝一 ]