この1カ月、FC東京は明治安田J1で波に乗れない試合が続いていた。10月18日のJ1第23節・横浜FC戦を皮切りに、よもやの4連敗。今季はそこまで連敗が一度もなかっただけに、急ブレーキがかかってしまった。11月11日の第33節・札幌戦で連敗を止める勝利を飾るも、続くACL突入前の2試合は1分1敗と勝ち切れず。チャンスを効果的に生かせないまま失点を喫して敗れるなど、流れがつかめないままこのアジアの挑戦に入ることになってしまった。
チームを支える守備のリーダー、森重 真人はカタール入り後の最初の取材でこう話した。
「ここに来るまでにチームを上向きにしたかったけど、個人的にはそんなに右肩上がりに来ているとは思っていない。ただ、ここから新しい大会が始まるので、またチームのモチベーションも違ってくる。そこに関しては少し波があったとも感じていたので、新たな戦いに向けて気持ちを入れ直すことが大事かなとは思っています」 森重が暗に触れたのは、11月7日に予定されていたJリーグYBCルヴァンカップ決勝の延期による影響だろう。国立競技場で柏とぶつかる一戦に向けてチームは気持ちを高めていたが、新型コロナウイルスの影響で延期が決定した。FC東京の面々は「気持ちを切り替えて」と自分に言い聞かせるようにプロとしての振る舞いを心がけていたが、人の感情がウイルスに翻ろうされる現状への難しさも、同時にチーム単位で痛感していた。
そうした異例の経験を踏まえて、このタイミングで迎えるアジアの舞台。「今年初めからこの大会を戦える楽しみは持っていた。数カ月間空いてしまったが、ACLという大会の価値は変わらない。ある意味短期決戦で集中して戦える国際大会をすごく楽しみにしている」と森重はチームの前向きなマインドを代弁した。
再開初戦で相対する上海緑地申花。多くの参加クラブが2月は試合を実施していたのに対して、中国のクラブは自国の感染状況悪化のため、まだ1試合も消化していない状況だった。そのため、すでに11月18日からカタールで試合を行い、第1節はオーストラリアのパースグローリーに2-1の勝利。しかし第2節では韓国の蔚山に1-3の敗北を喫している。
チームを指揮するのはかつて韓国の強豪である全北現代でアジア制覇を経験している名将チェ ガンヒ。長谷川 健太監督は「ガンバの監督時代の2015年にACLで全北と試合をしていて、その当時とサッカーの印象は変わらない。非常にタイトでアグレッシブに、フィジカルを生かしたサッカーをしてくる。難しい初戦になると思います」と語り、しっかり兜の緒を締めてこの試合に臨む。さらに最初は上海緑地申花との連戦になるため、「この2試合がグループステージ突破のカギを握る」と意気込む。
チームの好材料と言えば、直近のリーグ戦で約4カ月ぶりに復帰を果たした東 慶悟の存在。頼れるキャプテンが大事な大会を前に帰ってきたことで、チームの雰囲気は一段と明るくなった。イレギュラーな状況で行われる今大会。FC東京はタフに戦えるか。大事な再開初戦を迎える。
[ 文:西川 結城 ]