前節・上海上港戦でも引き分け以上でノックアウトステージ進出が決まった横浜FMは、大方の予想どおり8人を入れ替えるターンオーバーを敷いた。その3日前のACLグループH第3節とは一転、上海上港がラインを高く設定し、攻撃姿勢を強めたため、序盤から互いに決定機が生まれる展開となった。1-1で前半を折り返すと、ハーフタイムの3人代えで元ブラジル代表・オスカルを投入した上海上港は、そのオスカルが55分に勝ち越し点を演出。横浜FMは1点リードを機にブロックを作って守りに入った上海上港を崩せず、ACLでの連勝が『3』でストップするとともに、グループステージ突破は今節に持ち越された。
ACL初の敗戦を喫した一方、収穫だったのは9月に負ったハムストリングの肉離れの影響で途中出場が続いていた仲川 輝人の先発復帰だろう。前節はキレのある動きでチャンスメークに徹し、同点ゴールをアシスト。後半途中に退くまで好パフォーマンスを持続させた。今節も中2日のため先発するかは不透明だが、ベンチスタートでも流れを変える切り札として非常に心強い。
今大会は国内リーグと違って対戦相手のラフプレーが目立ち、メンタルコントロールを含めた高度なゲームコントロールが求められる。それを前節・上海上港戦で体感した伊藤 槙人は言う。
「球際も厳しいし、レフェリングも違う。大会を通して、慣れていくしかない。再開初戦から際どいプレーが多かったが、その中でも自分たちはボールを保持していくスタイルはやめない。テンポよく回すことで相手も疲れてくるし、『粘り強く対応していこう』という声かけはしていた」 思い返せば、2月のACL初戦で全北現代と対戦した際も似た状況はあった。ただ、Jクラブが苦手としている敵地・全州ワールドカップスタジアムにもかかわらず、横浜FMは全員が冷静なプレーに徹し、逆になかなかボールを奪うことができない相手が感情的になり、退場者を出すなど2-1のスコア以上の完勝劇を演じた。
今節の理想はACL初戦の再現だろう。全北現代は勝利しか生き残る道がなく、闘志を前面に出して得意のフィジカル勝負を仕掛けてくるのは想像に難くない。真っ向勝負を好む横浜FMにとっても願ってもないシチュエーションである。アジアの舞台で“アタッキングフットボール”を体現できるか――。己との戦いに勝った先に新たなクラブの未来がある。
[ 文:大林 洋平 ]