10月24日にパトゥムターニースタジアムで行われたその試合は、キックオフ時に30℃という高温多湿の中で選手たちの足が止まる厳しい戦いになった。遠野 大弥が14分に先制点を奪うも、徐々に押し込まれ、前半終了間際にイゴール セルゲーフに同点ゴールを許してしまう。後半開始早々、橘田 健人のミドルシュートが決まって勝ち越し、さらにマルシーニョと大南 拓磨が加点。その後の相手の反撃を1点に抑えたが、反省点も多く残った。
タイ特有の暑さもあったが守備がハマらず、パトゥムユナイテッドが誇る中盤のテクニシャンに見事な連係から、強力な外国籍選手がそろう前線へと良いボールを供給された。特に目立ったのが、ダニーロ アウベス。守備も献身的でアンカーを務めた橘田をけん制しつつ、マイボール時はそのアンカー横に下りてパスを引き出し、攻撃をけん引していた。また、今年6月まで川崎Fに所属していたチャナティップ ソンクラーシンがインサイドハーフの位置で躍動。「常に良い位置にいた」とは登里 享平の述懐で、中間ポジションを取りながらバイタルエリアで受け、うまく前を向いてチャンスを創出した。試合後、川崎Fの選手たちは口々に元チームメートがいかに厄介だったかを語っている。
一方で、家長 昭博が前回対戦後に話していたように「普通にやれば勝てる」という感覚を持てたことも事実。パスの出し手となる選手にしっかりと制限をかけ、高いラインを敷いてコンパクトな陣形を保って試合を進められるか。ボールを保持した際は、皆の意思を統一して攻め込んでいけるか。この2点がポイントになるだろう。
パスの出し手への制限は、暑さで足が止まった前回対戦に比べれば改善されるはず。その試合で大南が負傷離脱してしまったが、ジェジエウがリーグ前節・柏戦(1△1)で先発復帰。その走力で最終ラインの裏をカバーできるジェジエウが戻ってきたことは心強い。
ボールを保持した際の意思統一については、柏戦の反省が生かされるだろう。柏戦の失点は、チームとしてじっくりキープしながら攻め込んでいったタイミングでミスが出て、カウンターを食らったというものだった。そのミスに絡んだ瀬古 樹は「自分の力不足だった。経験を生かしたい」とコメント。流れと戦況を見る状況判断と、狙った位置にパスを通す技術の改善を話した。それでも瀬古は、「ミスを起こさないことが一番だが、それを気にしていると普通の選手になってしまう。この失敗を成功につなげたい」と前を向いていた。機を見て入れるチャレンジの縦パスが、相手の守備を崩すことにつながる。その意識を持つとともに、ミスが出れば全員でカバーする意識も必要だろう。
瀬古は、勝てばグループステージ突破が見えてくる一戦を意識しつつ、「負けない流れを続けたい」と話した。試合巧者の一面も見られる現在の川崎Fが、タイの強豪にすごみを見せつける。
[ 文:田中 直希 ]