第1戦は立ち上がりこそ劣勢に立たされた。相手のトップ下が右サイド寄りの位置取りで起点を作る動きを繰り返し、山川 哲史は「相手のSBも中に入ってくるし、右SBの(広瀬)陸斗くんを引き出してその裏のスペースだったりを狙っている」と状況を把握。「(井手口)陽介くん、陸斗くんとピッチの中で話して、うまくスライド、カバーをすれば大丈夫」と確認し、徐々に相手のリズムを鎮静化させることに成功した。攻守のオーガナイズを崩すことなく、23分にマテウス トゥーレルがゴールを決めて着実に勝ち切っている。
昨季のラウンド16は第1戦で光州(韓国)に2-0で先勝したものの、第2戦で非情なまでの大逆転負けを喫した。今回のFCソウルも敗戦の経験を生かして何かしらの策を講じてくることが考えられる。実際、第1戦はリーグステージ第7節で対戦した際とはシステムが異なり、前線に置かれる選手の特徴にも変化が見られていた。ラウンド16進出を受けて、当初7日に開催が予定されていたKリーグ1第2節が延期されるなど、逆転突破に向けて万全の準備を整えてくることは想像に難くない。
山川 哲史は冷静に第2戦を見据える。昨季の敗退を「切り替えることも難しかった」と振り返ると同時に「その頃はまだ、試合中に起こっている現象に対して、中の選手で話すところができていない段階だった」と話した上で、いまのチームをこう見つめる。
「間違いなくこれからの神戸に必要な経験だった。あの試合を機に、よりピッチの中で、選手の中で話すことが増えた。去年はそれを少しずつ積み重ねて、いまでは普通に中の選手で話せている。ガラッとチームとして成長できたところだと思う。仮に相手がやり方を変えてきたとしても、ピッチの中で対応できるような準備は整っているかなと思います」 失意の敗退を経験した昨年3月以降、多くのことを積み上げてきた神戸。多くの力のある選手が戦列に加わり、今年はミヒャエル スキッベ監督の下で確かな成長を見せている。チームとして培ってきたものすべてを発揮する第2戦とも言えるだろう。
さらに、山川 哲史は「1stレグで勝ったあとも気を緩めている選手は1人もいなかった。みんなが『次に向けて』という顔つきでいた」と証言する。選手個々は自らのパフォーマンスに満点を与えない。上々のプレーを見せながらも、ハンドで相手にPKを与えた濱﨑 健斗は「(前川)黛也くんが止めてくれた。しっかり反省して、結果で恩返ししていかないといけない」と気持ちを込める。永戸 勝也も「個人としてあまり良さを出せなかった。準備も含めて、ホームではもっと良いパフォーマンスができるように」と、勝って兜の緒を締めた。
そして、「去年と違うのは、やっぱり(第2戦を)ホームで戦えること」と山川 哲史が強調したように、この第2戦には本拠地のサポーターの声援という後押しがある。11日夜、神戸は力強くファイナルズへの扉を開きにいく。
[ 文:小野 慶太 ]