明治安田J1では18試合を消化して4位と上位につける鳥栖。リーグ戦では現在8試合負けなしだが、その内訳は4勝4分。負けない強さを見せながらも、勝ち切れない物足りなさも同居してしまっている。特に直近の2試合は引き分けに終わっており、昨季の課題だった得点力不足が顔をのぞかせ始めている。リーグ最少の8失点という数字ばかりが先行し、堅守と呼ばれることも多い鳥栖だが、本質はあくまでも攻撃的なスタイル。自分たちが主導権を握り、相手の攻勢の時間を少なくしているからこその失点数。だからこそ、得点という結果を出すことで、良い意味で“堅守”のイメージを払しょくしていくことが求められる。
一方の熊本は2018年以来のJ2復帰を目指し、J3で3年目のシーズンを迎えている。第5節から5試合負けなし(4勝1分)と好調な戦いぶりを披露。直近のリーグ戦ではホームに沼津を迎えた。勝てば首位に浮上できた一戦だったが、得点を奪うことができずに敗戦を喫してしまった。
カテゴリーが違う両者だが、公式戦での最後の対戦は2年前の第99回天皇杯2回戦。熊本が先制したものの鳥栖が追いつくという流れの中、その後はどちらにも得点が生まれずにPK戦に突入。最後は鳥栖が上位カテゴリーの意地を見せて4-3でPK戦を制している。
平日に行われるカップ戦で気になるのはメンバー構成だろう。JリーグYBCルヴァンカップではリーグ戦から大きくメンバーを入れ替えて戦ってきた鳥栖だが、その背景にはリーグ戦を挟んでの連戦という日程の影響が大きかった。ただ、今回は直近のリーグ戦から1週間以上の間隔が空いており、この試合のあとも次の公式戦まで2週間の準備期間がある。リーグ戦を戦ってきたメンバーを投入できるだけの余裕が十分にある日程となっている。
一方の熊本は対照的だ。直近の公式戦となったリーグ戦から中2日でこの一戦を迎えるだけでなく、この試合を終えると中3日でJ3で首位を走る、勝点差2の富山との上位対決がアウェイで控えている。天皇杯1回戦・日本文理大戦ではリーグ戦から大きくメンバーを入れ替えることなく臨んで快勝しているが、今回は連戦という要素を考慮しないわけにはいかない。
天皇杯では2013年のベスト4が最高成績となっている鳥栖。昨季はコロナ禍による変則的レギュレーションのため参加できなかったが、2018年、19年とベスト8まで進んでいる。J1で10年目を迎えるシーズンだが、タイトル獲得はクラブの悲願でもある。すでにルヴァンカップでは敗退しており、天皇杯は可能性の残された重要なタイトルだ。リーグ戦では川崎Fが独走状態に入りつつあるだけに、天皇杯も大事に戦いたいところ。
ともにボール保持をベースとしたスタイルが持ち味。“魅せて勝つ”を実現し、3回戦へと歩を進めるのはどちらになるのか。
[ 文:杉山 文宣 ]
