明治安田J1で2位につける名古屋。20試合のうち14試合が無失点という驚異の守備力が特長で、前半に先制点を奪って逃げ切る、もしくは0-0で粘って後半に1点を奪って勝ちにつなげるという戦いを得意としている。
リーグ戦では川崎Fとの首位攻防2連戦で2連敗を喫し、2位とはいえ勝点差が『18』と大きく開いてしまった。今季中にその屈辱を晴らしたいと誓う選手も多く、この天皇杯に懸ける思いは相当に強い。名古屋はカテゴリーが下のチームと対戦する天皇杯初戦で取りこぼした経験も多くあるが、着実に乗り越えて1999年度大会以来の戴冠を目指したい。
名古屋で注目したいポイントは、まず出場メンバーだろう。通常J1勢にとって天皇杯の初戦は、下位カテゴリーとの対戦ということもあり、若手を起用して戦力強化を図りたいという思惑が見えることも多い。しかし、今回は直近のリーグ戦から中9日と日程が空き、さらに22日に初戦を迎えるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループG第1節・ジョホール戦まで最後の公式戦。主力組のコンディションを落とさないように、この天皇杯2回戦からベストメンバーで挑む可能性もある。
ただ、日本代表に招集された中谷 進之介と、U-24日本代表に招集された相馬 勇紀の主力2人は不在。相馬が務めるアタッカーは戦力が豊富にそろっているので大きな問題とはならないだろうが、中谷が抜けるCBは丸山 祐市も負傷離脱中。CBは木本 恭生と若手の藤井 陽也の2人しかおらず、必然的に天皇杯ではこの2人のコンビとなりそうだ。
藤井は今季リーグ戦での出場はなく、昨季もリーグ戦での出場時間はわずかに1分だった。フル出場となれば、昨季のJリーグYBCルヴァンカップAグループ第2節・清水戦以来となる。名古屋U-18時代から将来を嘱望されていた選手として、今後のACLやリーグ戦のためにも、そしてサポーターに成長ぶりを見せるためにも、この試合でしっかりとアピールをしたい。
そして、攻撃に目を移すと、名古屋は現在3試合連続無得点と得点力に課題を抱えている。マテウスや柿谷 曜一朗などタレントは豊富にそろっているが、最後のところでコンビネーションがズレてしまうことも多く、この天皇杯初戦でそのテーマを解消しつつ、ACLに向かいたいところではある。
対する三菱水島FCは、1回戦で山口県代表のFCバレイン下関を3-1で破って勝ち上がった。その試合は開始1分でCKから先制点を奪うと、その後も主導権を握って攻め続ける。そして31分に左サイドをえぐって、クロスの跳ね返りを山部 晃が右足で蹴り込んで追加点を奪うと、PKのこぼれ球を押し込まれて1点を失ったものの、すぐに取り返して勝利を収めた。
現在は中国リーグに所属しているが、過去にはJFLに所属していた期間もある。働きながらサッカーに打ち込む選手たちが、J1勢との晴れの舞台でどんな戦いを見せるのか。昨年はリーグ戦が中止されたこともあり、1回戦で選手たちはよりサッカーを楽しんでいる感じがあった。2回戦ではさらにモチベーションを高くしてジャイアントキリングを狙う。
[ 文:斎藤 孝一 ]
