日本最高峰のJ1での戦いが11年目を迎える鳥栖は、今季から川井 健太監督が指揮を執る。昨季の主力選手たちが次々と移籍し、チームが大きく刷新される中、今季は伝統のハードワークをベースに、攻守にアグレッシブなスタイルへと舵を切った。得点力という部分にやや課題を残すもののシーズン序盤から結果にかかわらず、主導権を握る試合がほとんどで、ここまではスタイルチェンジが順調に進んでいる。明治安田J1では、ここまで16試合を終えて5勝9分2敗で8位。AFCチャンピオンズリーグ出場圏内となる3位も十分に狙える位置につけている。
対するヴェルスパ大分は、JFLで4勝2分3敗。勝点14で8位につけている。天皇杯での戦いを振り返ると、大分県予選決勝では対戦相手の選手数名に新型コロナウイルス感染症の陽性判定者が出たため、不戦勝で6年連続12回目の本選出場を決めた。1回戦ではJ3の鳥取と対戦。上位カテゴリーとの対戦となったが、立ち上がりから攻守において鳥取を圧倒すると、前後半で2点ずつを奪い、守備でも最後まで失点を許さず。終わってみれば4-0の快勝で、天皇杯の醍醐味であるジャイアントキリングを達成。2回戦へとコマを進めている。
両者は2015年の天皇杯2回戦で対戦している。その際も舞台は同じ駅前不動産スタジアム(当時はベストアメニティスタジアム)で、鳥栖が4-0でヴェルスパ大分を一蹴した。ただ、ヴェルスパ大分は前回大会で山口と山形を破っており、J2クラブの撃破は経験している。今回はJ1クラブの撃破と7年越しのリベンジ達成を目指す。今大会の1回戦では、4年前に敗れた鳥取にリベンジを達成しているだけに、2回戦でも同様の再現を果たせるか。
クラブ設立25周年のメモリアルイヤーを戦う鳥栖にとって、タイトル獲得はクラブの悲願でもある。すでにJリーグYBCルヴァンカップはグループステージで敗退しているため、天皇杯はタイトル獲得を目指す上で重要な大会だ。直近の公式戦から中3日となるヴェルスパ大分に対して、中2日と日程的にはやや不利な状況だが、この試合が終わればリーグ中断期間に入るだけに、チームの総力を結集してこの一戦を勝ち切りたい。
そんな鳥栖に対して、「われわれが唯一、公式戦でJリーグのチームと試合ができる場なので、普段以上に選手たちのモチベーションは高い。なんとか自分たちのサッカーを皆さんに見てもらいたいという気持ちが強い」と山橋 貴史監督が話すように、ヴェルスパ大分の今大会へ懸ける思いは並々ならぬものがある。
鳥栖がJ1としてのプライドを見せるのか。それともヴェルスパ大分の下克上への強い気持ちが勝るのか。カテゴリーを超えた“九州ダービー”は熱戦必至だ。
[ 文:杉山 文宣 ]
