ただ、お互いに現在のチーム状態は最高とは言えないかもしれない。クラブ史上初となる天皇杯ベスト4進出を決めた甲府は、9月7日に行われた準々決勝で福岡と対戦。延長戦の激闘を制して準決勝にコマを進めたが、明治安田J2は9月以降の6戦を全敗と苦しんでいる。とはいえ、何もかもがうまくいっていないわけではない。リーグ前節・栃木戦も先にペースをつかみつつ攻撃を仕掛けていたが、ゴールを奪うことはできず、栃木の決定力の前に敗れてしまった。被シュート数はわずか2本だっただけに悔しい敗戦だったと言えるだろう。
ホームで声出し応援を受けつつ結果を出せなかったことに吉田 達磨監督は、「勝っても負けても次の試合は来ます。天皇杯があります。下を向いてしまいがちだけど、これだけ応援してもらって試合が終わったあとも歌ってもらって、僕たちが下を向くわけにはいきません」と気持ちを切り替えていた。
ここまで天皇杯はリーグ戦からメンバーを入れ替えて戦ってきただけに、リーグ戦で8得点を奪っているウィリアン リラら主力選手をどう起用するかにも注目が集まる。
甲府を迎え撃つ鹿島も調子が上がってこない。こちらも天皇杯準々決勝で神戸を1-0で下したものの、その後のJ1では京都、鳥栖を相手に敵地で勝ち切ることができず、1-1のドロー。リーグ前節はホームに帰ってきて結果を出すことが望まれたが、FC東京に0-1と競り負けてしまった。岩政 大樹監督も「言葉を出すのが難しいなという試合内容だった気がします」と、試合直後の振り返りを避け、チームへの影響を最小限にとどめることを優先した。試合に向けて準備した戦い方が出せず、流れの中で奪えていた得点も止まってしまったため、「ゴールが生まれなかったということが悪影響を及ぼさないようにしないといけない」と、岩政監督も苦悶していた。
クラブとしては2016年を最後に国内タイトルから遠ざかっており、今回のチャンスは是が非でも手にしたいところだろう。リーグ戦では内容を重視することが少し先の結果となって花開くと考えてきたが、現状を受けて天皇杯ではチームをどう導くのか、岩政監督の手腕が問われている。
鹿島としては、これまでもそのときのベストメンバーを組んできた。今回もその方針は継続されるだろう。ただ、GKだけは違う。「天皇杯に関してはクォン スンテに任せるということを明言しています」と岩政監督。GK陣は若手の台頭が著しい鹿島だが、ここは38歳の大ベテランがゴールマウスを守ることになりそうだ。
[ 文:田中 滋 ]

