奈良は、県予選決勝で飛鳥FC(関西リーグ1部)と対戦し、1-0で勝利。3年連続15回目の奈良県代表となった。フリアン監督就任以降に出場した第102回・第103回大会は、いずれもHonda FC(JFL)に0-1で惜敗している。フリアン監督がリーグ戦に重きを置くことに変わりはないが、今年の県予選決勝後には、過去2大会にも触れた上で「できる限り勝ち上がって、上位カテゴリーと対戦したい」と口にした。4月24日に行われたJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド2回戦でJ1・広島と対峙したあとにも「この経験は天皇杯などでも生きてくるだろう」と話しており、これまで以上に初戦突破への意欲がうかがえる。
直近の公式戦だった明治安田J3第14節・岐阜戦を終えたあと、フリアン監督が「成長を続けている」と語ったとおり、5月に入ってからのリーグ戦3試合と県予選の計4試合では、3勝1敗。そのうち奈良県下で行われた3試合では、課題だったセットプレーや試合終盤の守備に改善が見られ、接戦で勝ち切っている。選手たち自身も成長の手ごたえを感じており、ようやく内容に対して結果がともない始めた。翌週には、FC大阪との“生駒山ダービー”も控えている。好調なチームをさらに良い波に乗せる一戦としたい。
対するは、京都府予選決勝でおこしやす京都AC(関西リーグ2部)を4-0で下し、8年ぶり6回目の京都府代表となった京都産業大。吉川 拓也監督が就任し、それまで率いていた古井 裕之監督が総監督となった昨年は、“ハイクオリティー”、“ハイインテンシティー”、“ハイスピード”の3つのテーマを軸に、アグレッシブなアタッキングフットボールを体現。関西学生リーグ1部では、1972年の創部以来初めてとなる優勝を果たした。さらに第72回全日本大学サッカー選手権大会では、初めて決勝の舞台を経験し、準優勝している。
主将を務める菅野 翔斗(4年)、副主将の横窪 皇太(4年)、伊藤 翼(2年)、末谷 誓梧(2年)など、昨年も主力だった選手やインカレ決勝のピッチに立った選手も残っている。一方、前年で好成績を残したこと、そして食野 壮磨(東京V)や福井 和樹(相模原)など4選手がJクラブへと巣立ったことから、今年の “ハイクオリティー”には強いプレッシャーが掛かる。菅野が「まず走り、戦うこと。それができてこそ、技術やクオリティーが出せると考えている」と話したとおり、“ハイインテンシティー”と“ハイスピード”は試合を通じて徹底。より高めたい “ハイクオリティー”に関しては、この天皇杯での経験が自信やさらなる成長につながるだろう。本戦出場で満足するようなマインドはさらさらない。もっと先へ進むために「自信を持ってボールを持ち、チャレンジしたい」(吉川監督)。
この試合では、両チームとも「チームのために」献身的に動く選手たちがピッチに並ぶ。球際でのファイト、アグレッシブな攻守、連動・連係のとれたパスワークとスピード感など、互いの良い部分が出れば、最後まで見ごたえあるゲームとなるだろう。
両者は2016年の第96回大会の1回戦でも対戦し、そのときは奈良が2-0で勝利。しかし、現在は互いに指揮官が変わり、その試合に出場していた選手はいない。8年ぶりの今回の対戦で、J1・鹿島への挑戦権を得るのはどちらか。
[ 文:前田 カオリ ]


